コラム

 公開日: 2012-08-06  最終更新日: 2016-02-15

【1.不動産登記(登記申請の代理)】

☆逐次、情報を更新しておりますので、最新の情報は、当事務所のホームページをご覧ください。
http://www.taguchi-shihou.com/gyoumu/index.html


(当事務所の取扱業務)
① 登記申請の代理、登記申請書作成、登記申請手続事務の相談
② 登記添付書類の作成、取寄せ
③ 売買契約書等文案書類の作成代理、文案書類作成の相談
④ 登記に関する審査請求手続(不服申立手続)についての代理


 (第1 不動産登記 ・ 第2 不動産の税金(参考))
第1 不動産登記について
(1)不動産登記の意義
土地や建物(以下、「不動産」という。)について、その所在や面積などの実状と、所有者の住所・氏名や担保の有無などの権利関係を、国家機関である法務局が管理する登記記録(いわゆる登記簿のことです。)に公示することにより、不動産取引の安全を図る制度です。
(2)登記記録について
登記記録は、1筆の土地又は1個の建物ごとに作成され、その登記記録は表題部と権利部に区分されます。
表題部には、土地の場合「所在・地番・地目・地積等」、建物の場合「所在・地番・家屋番号・種類・構造・床面積等」が記録されます。
権利部は、甲区と乙区に区分され、甲区には所有権に関する事項、乙区には所有権以外の権利に関する事項(地上権・賃借権・抵当権等)が記録されます。
(3)所有権に関する主な登記について
ア 所有権移転登記
①売買を原因とする所有権移転登記
不動産を目的する売買契約は、売主が買主に対し、不動産の所有権を移転することを約束し、買主が売主に対し代金を支払うことを約束することにより成立します。
なお、実務では、買主が売主に代金全額を支払った後に所有権移転登記申請をするのが通例です。
②贈与を原因とする所有権移転登記
不動産の贈与契約は、贈与者が受贈者に対し、不動産を無償で所有権移転することの意思表示をし、受贈者がそのことを受諾することにより成立します。
なお、実務では、契約後直ちに所有権移転登記申請をするのが通例です。
③相続を原因とする所有権移転登記
ある人が死亡した場合において、その人(被相続人)が所有していた不動産を、相続した者の名義にするためになされる所有権移転登記です。
なお、相続人が数人ある場合は、所有権移転登記の前提として、遺産分割協議をし、遺産分割協議書を作成しなければなりません。
イ 所有権保存登記
建物を新築したときやマンションを購入したときに、その所有権の登記名義を「建て主」や「マンション所有者」にするためになす登記です。
(4)所有権以外の権利に関する主な登記について
ア 抵当権設定登記
金融機関等からお金を借りるときに、その担保のために、債務者又は担保提供者たる第三者(債務者以外の者で、担保提供をする者のことを物上保証人といいます。以下、「物上保証人」という。)の所有する不動産に設定されます。
金融機関等の債権者は、債務者又は物上保証人が担保提供した不動産を、その所有者に占有を残したまま、担保提供者の使用・収益に任せながら、債務が弁済されない場合にはその不動産を競売して、その売却代金から優先的に弁済を受けることができます。
イ 根抵当権設定登記
根抵当権設定登記とは、金融機関等と企業、企業と仕入先などの間で反復継続して行われる取引から生じる債権を、当事者間で定めた金額の範囲内で担保するために、債務者又は物上保証人所有の不動産に担保権を設定する登記のことです。
根抵当権は抵当権と違い、具体的に債権が発生していなくても設定することが可能であり、債権が消滅しても根抵当権は消滅せず、新たに発生する債権を引き続き担保します。
ウ 不動産質権設定登記
不動産質権とは、債権者が債権の担保として、債務者又は第三者(物上保証人といいます)の不動産を、その債務が弁済されるまで占有して、使用収益し、債務が弁済されないときは、目的不動産を競売して優先弁済を受けることができる約定の担保物権です。
・ただし、当事者の特約により「使用収益しないこと(不動産を占有しなこと)」とする例外が認められています。
・この権利を第三者に対抗するためには、不動産質権設定登記が必要です。
エ 不動産先取特権設定登記
(ア) 民法上の一般の先取特権
民法上の一般の先取特権は、「①共益費用の先取特権 ②雇人給料の先取特権 ③葬式費用の先取特権 ④日用品供給の先取特権」の4種類があります。
・ 一般の先取特権は、公平の原則、社会政策的配慮その他の理由により法定の債権が発生すればその債権の担保として、法律上当然に債務者の総財産について成立する法定担保物権です。
*債務者の総財産に成立するとは 総財産を構成する個々の不動産、動産、債権その他の財産権ごとにそれぞれ一般の先取特権が成立するという意味です。
・ 一般の先取特権は、その登記をしなくても、「抵当権その他の特別担保を有しない債権者に対抗でき、その優先弁済権を行使することができます」が、特別担保との優先順位は登記の順位によって定まりますので、登記をするのがベターです。
(イ)民法上の不動産の特別の先取特権
民法上の不動産の特別の先取特権とは、公平の原則等の理由により、不動産に関して法定の債権が発生すれば、その債権の担保として法律上当然に当該不動産について成立する法定担保物権です。
・ 民法によって認められている不動産の特別の先取特権は、「①不動産保存 ②不動産工事 ③不動産売買」により生じた債権を担保するものとして債務者の当該不動産につき成立します。
・ この権利を第三者に対抗するためには、「不動産保存・工事・売買の先取特権保存登記」が必要です。
・ いずれも、法定の時期にその登記をすることにより、当該不動産の競売代金から、それぞれの順位に応じて優先弁済を受けられます。
オ 賃借権設定登記
土地・建物に賃借権を設定した場合、土地・建物の所有者に移動があっても、その所有者から引き続いて借りておく権利を保全しておくために、賃借権設定登記をしておく必要があります。
カ 地役権設定登記
地役権とは、設定行為により、他人の土地(承役地)を自己の土地(要役地)の便益に供するために、他人の土地に設定される権利です。
・地役権の主なものとして、「通行地役権」と「引水地役権」があります。
・この権利を第三者に対抗するためには、地役権設定登記が必要です。
キ 地上権設定登記
地上権とは、他人の土地において工作物又は竹木を所有するために、その土地を使用する権利であり、原則として土地の所有者と地上権を取得する者との設定契約によりその権利を取得します。
・この権利を第三者に対抗するためには、地上権設定登記が必要です。
ク 永小作権設定登記
永小作権とは、他人の土地に設定される耕作又は牧畜を目的とする権利です。
・永小作権は、地上権と異なり小作料の支払が要件となります。
・耕作や牧畜を目的とする土地の使用権は、賃貸借によっても設定し得るので、現在は、永小作権の設定はほとんど見られません。
・第三者対抗要件として、永小作権設定登記が必要です。
ケ 採石権設定登記
採石権とは、他人の土地において、設定行為の定めるところに従って、岩石及び砂利を採取する権利(物権)です。
・その権利を第三者に対抗するには、採石権設定登記をすることが必要です。
コ 信託に関する登記
信託に関する登記の種類は、大きく分けて4種類あります。
① 信託の登記
信託をするときに、信託に属したという旨を記載する登記
② 更迭に伴う移転の登記又は変更の登記
・受託者が任務終了で更迭したという場合には、所有権移転の登記
・合有になっている場合に、一人が任務終了したような場合は変更の登記。
③ 信託原簿の記載を変更する登記
④ 信託登記の抹消
サ 立木に関する登記
土地に生立する樹木は、土地の一部をなすものであり、原則として土地を処分したときはその樹木もその処分に従います。
・明認方法による対抗要件
樹木の集団のみを、独立して、売買などにより所有権を譲渡することも可能です。この場合、立木登記又は明認方法を施すことにより、第三者対抗要件となしえます。
・立木法による所有権保存登記
樹木の集団のみを、その成立する土地と分離して独立に抵当権の目的とするためには、立木法による所有権保存登記を受ける必要があります。また、所有権保存登記を受ければ所有権の譲渡についてもその対抗要件とすることができます。
(5)その他の登記について
ア 所有権登記名義人表示変更登記
不動産所有者の住所や氏名が変わったときになす登記です。
イ 抹消登記
「抵当権の債務が消滅したときの抵当権抹消登記」、「根抵当権設定登記がなされていたが、継続的取引が解消されたときの根抵当権抹消登記」、「所有権移転登記を完了したが、錯誤によりなされたので、元の所有者に戻すときの所有権抹消登記」等がその例です。
ウ 抹消回復登記
抹消回復登記とは、登記の全部又は一部が不適法な原因によって抹消された場合にその登記を回復し、抹消当時に遡って抹消がなかったと同様の効果を生じさせる登記のことです。
エ 仮登記
仮登記とは、直ちに本登記をすべき「実体的要件又は手続的要件」が備わっていない場合に、将来、必要な要件が備わったときにする本登記のために、あらかじめ順位を保全しておく登記のことです。
オ 処分制限の登記
所有権その他の権利につき、その譲渡や他の権利の客体とする等の処分を禁止することを「処分の制限」といいますが、その法律効果を表す登記のことを「処分の制限の登記」といいます。
カ 判決による登記
権利に関する登記は、登記権利者及び登記義務者の共同申請を原則としていますが、登記権利者又は登記義務者が登記申請に協力しない場合に、いずれかが給付の訴え(登記手続請求訴訟)を提起し、勝訴判決を得た場合は、その判決正本に基づき単独で登記申請ができます。
(6)新中間省略登記
ア 中間省略登記の意義
不動産の売買において、A→B→Cと所有権が移転された場合、Bを飛ばしてAからCへ直接、所有権移転登記をなすことをいいます。
(第三者のためにする契約を締結する意義:新中間省略登記の意義)
平成16年の不動産登記法改正前と実質上同様の不動産登記の形態を実現し、「①現場の取引費用の低減の要望に応える」とともに、「②不動産の流動化、土地の有効活用」を促進する目的から、ABCが売買等に関与する場合であっても、実体上、所有者が「A→C」と直接移転し、中間者Bを経由しないことになる類型(下記の2つ)の登記申請は、具体的な登記原因証明情報を明示した上で可能である。

①「 第三者のためにする売買契約の売主から当該第三者への直接の所有権移転登記」
②「買主の地位を譲渡した場合における、売主から買主の地位の譲受人への直接の所有権移転登記」
イ 中間省略登記そのものは、旧法でも、新法でも認められない。
中間省略登記は、実体上の権利変動の内容と登記の内容が不合致であり、権利の得喪及び変更の過程と態様を正確に登記に反映すべきものとする不動産登記制度の要請に反しており、却下されるべきものであ る。
・このことは「旧法においても、新法においても」何ら変更はありません。
*旧法においては、新法と相違し、登記申請に当り、登記原因証明情報(所有権移転の経緯を詳細に記載した書面)の添付が義務付けられていなかったので、委任状の記載の内容に従って登記を受理していたため、結果として中間省略登記がなされていました。
ウ 新法における「新中間省略登記」の考え方
不動産取引において、A→B→Cと3者が関与するが、所有権はA→Cに直接に移転するのであれば、所有権移転登記の申請もA→Cへ直接、所有権移転登記が可能ではないかとの考えから、下記の2つの契約については、Bを飛ばしてAからCへ、直接移転する登記が可能となりました。

① 第三者のためにする契約方式による契約
② 売主の地位の譲渡契約方式による契約
エ 第三者のためにする契約方式における「契約の意義・契約書の特約の内容」
(ア) 契約の意義と経済的意義
(契約の意義)
第三者のためにする契約とは、契約の当事者が、自己の名において締結した契約によって、当事者以外の第三者に対して直接、権利を取得させることを内容とする契約のことをいいます。
(経済的意義)
第三者のためにする契約の経済的な意義は、要約者(買主)が諾約者(売主)の物を自らいったん取得して、これを受益者(第三者)に給付するという手続を省略して、諾約者(売主)から受益者(第三者)に直接給付することを可能にするという点にあります。
(イ) 契約書に記載すべき特約の内容
売主A・買主B・第三者C(Bからの買主)として契約した場合
① 第1の売買契約(AB間)に付す特約
ⅰ 第三者のためにする契約あることを明記
売主Aと買主Bとの契約で、第三者C(AB間の売買契約には関与せず、Bの指定する者)が直接Aから所有権を取得する旨を定める。
ⅱ 所有権留保
AB間の決済が先行してなされる場合でも、Bが所有権の移転先を指定するまでは所有権がAに留保されたままであることの確認事項を記載する。
Ⅲ 受益の意思表示の受領委託
所有権の移転先に指定されたCが、本来Aに対して行うべきである所有権の移転を受ける旨の意思表示(受益の意思表示)を、Bに対してすれば足りるようにする事項を記載する。
ⅳ 買主の移転債務の履行引受け
売買契約に基づき、買主BがCに対して負う所有権移転義務を、売主Aが買主Bに代わって履行することを引き受ける旨の記載をする。
②第2の売買契約 (BC間)に付す特約
第三者の弁済
売買契約(BがCに対してA所有の不動産を売る契約《他人物売買》:民法560条)に基づき、BがCに対して負う所有権移転義務を、AがBに代わって履行することをCが承認すること(第三者の弁済:民法474条)の記載をする。
オ 売主の地位の譲渡契約方式における「契約の意義・契約書に記載すべき特約の内容、記載例」
(ア)契約の意義
第三者のためにする契約ではなく、通常の売買契約を締結し、買主が当該売買契約における買主としての契約上の地位を第三者に譲渡するという方式の契約です。
(イ)契約書に記載すべき特約の内容
売主A・買主B・第三者C(Bからの買主)として契約した場合
(特約の内容)
甲の地位の譲渡による場合のA・B間の契約の内容は、第三者のためにする契約の場合と異なり、単純な通常の不動産譲渡契約である。
*通常の売買契約から生ずる買主の地位を、将来BからCに譲渡するだけのことであるから、AB間の契約内容は、契約上の地位を譲渡することができる程度に特定されていればよい。
・ ただし、買主の地位の譲渡が可能なのは、BがAから所有権を取得する前の段階であり、Bが所有権を取得してしまった後は、譲渡が可能なのは所有権のみであって、「所有権を取得し得る地位」は譲渡ができない。
(ウ)契約書の特約の記載例
売主A・買主B・第三者C(Bからの買主)として契約した場合の例です。 特約として、下記の所有権の移転時期に関する記載が不可欠です。

AB間の売買契約において、「BからAへの売買代金の支払が完了したときに、本件不動産の所有権がBに移転する」という特約です。
(7)不動産登記の効力
不動産登記の効力として、「①対抗力、②公信力、③権利推定力、④形式的確定力」が考えられます。そこで、その内容について説明します。
ア 対抗力の意義
不動産に関する物権の得喪・変更は登記をしなければ第三者に対抗できないという効力です(民法177条)。
(具体例)
①例えば、AがBに、A所有の甲不動産を売って売買代金全額を受領しておきながら、Aがそのことを隠して、Cと売買契約を締結し、Cからも売買代金全額を受領したとします(つまり、二重売買です。)。
 ・この場合、先に所有権移転登記をとった者が、他の買主及び第三者に対し自己の所有権を主張(対抗)することができます。
 ・つまり、CがBより先に所有権移転登記をとった場合は、CはBに対し、甲不動産の所有権はCにあることを主張できます。
その結果、BはAに対し、債務不履行(履行不能)を理由に契約を解除し、「売買代金の返還」と「損害賠償(履行利益の損害賠償:その契約が履行されたなら、転売等により得られたであろう利益)の請求」することになります。
 ・しかしながら、Aがお金を費消してしまい、Bに対し売買代金を返還できないこともあり得ます。
 ・買主は、売買代金の支払と引換えに所有権移転登記をとらなければ、このようなリスクを負担してしまいます。
②お金を貸した担保として抵当権を設定した場合、登記した順序で担保の優劣が決まります。
 ・つまり、債務者が借り受けた金員の弁済ができない場合、抵当権が付された不動産は競売に付され、その代金は、第1抵当権者が全額弁済を受けた後でなければ、第2抵当権者は弁済に与ることはできません。
*損害賠償の範囲たる「履行利益・信頼利益」とは
(意義)
債務者が契約に関して損害賠償を請求するにつき、どんな利益が害されたかを問題とする場合の区別です。
 ・債務不履行責任や瑕疵担保責任などにおいては、解除とともに損害賠償請求ができます。
 ・一般的には、債務不履行による損害賠償は履行利益のみが対象となります。
 ・信頼利益は、契約締結上の過失のような場合に限られます。
契約締結上の過失とは
売買等の対象物が原始的全部不能の契約は無効になります。そうすると不法行為責任しか追及できなくなり、原始的一部不能の場合に担保責任(契約責任)が認められていることと均衡を欠くことになってしまいます。そこで、信義則上、契約当事者は互いに相手方の財産を侵害しない義務を負っているものと解し、契約責任として信頼利益の損害賠償責任を負わせるべきであるとの考えによるものです。
(履行利益とは)
契約の有効を前提とし、契約が約定どおり履行されれば、債権者が得たであろう利益のことです。例えば、
① その土地を利用(例:賃貸)することによって得られたであろう利益
② 転売によって得られたであろう利益
(信頼利益とは)
無効の契約を有効と信頼したために失った利益のことです。
例えば、
① 有効な土地の売買契約と信頼して土地を見に行った費用
② 建築するために用意した資材の購入費
イ 公信力
実体上存在していない権利関係が、登記記録に記録されている場合に、その登記を信用した第三者のために、その登記どおりの実体関係があるものとみなして権利を発生させる効力です。
*ただし、日本では、登記に公信力は認められていません。
(理由)
公信力を認めると、不実の登記がなされていた場合、真の権利者が保護されなくなるからです。
ウ 権利推定力
登記記録に記載された事項については、その記録された事項の法律関係が、一応実際に存在するものと推定されるという効力です。
エ 形式的確定力
登記が存在する以上、その有効・無効に関係なく、以後は、登記手続上これを無視して行動することは許されないという効力です。
(8)登記済権利証を紛失した場合の対策
ア 登記済権利証(又は登記識別情報)とは
「売買・贈与・交換・相続等」を原因として所有権が移転された場合、所有権移転登記をとることになります。登記手続が完了すると、法務局から登記済権利証(又は登記識別情報)が発行されます。
*登記済権利証は、平成17年3月7日施行の「登記のコンピュータ化」により、名称が「登記識別情報」となり、登記識別情報には「12桁の英数字」が記載されています。
・ 登記済権利証(又は登記識別情報)は、売買や贈与等により所有権移転登記を申請する場合に、売主や贈与者の「本人確認や意思確認を証明する書類」としての役割を担い、所有権移転登記申請の添付書類の一つとなっています。
*なお、相続を原因とする所有権移転登記申請の場合は、登記済権利証(又は登記識別情報)の添付は不要です。
(理由)
亡くなった人の「本人確認や意思確認」はできないからです。
イ 登記済証(又は登記識別情報)を紛失する例
登記済証(又は登記識別情報)を紛失する形態は様々ですが、下記の事例が多いようです。
① 保管場所を失念してしまう。
② 滅多に使用しない書類なので、不要物と勘違いして廃棄してしまう。
③ 大事なものと知らないで、家族がごみと一緒に処分してしまう。
ウ 登記済権利証(又は登記識別情報)が紛失した場合の注意事項
登記簿謄本(現在は、登記事項証明といいます)を取りよせて、登記内容を確認することが大事です。
・登記の内容に変動がなければ、登記済権利証(又は登記識別情報)を紛失したとしても何ら心配はいりません。
エ 登記済権利証(又は登記識別情報)を必要とする場合
登記済権利証(又は登記識別情報)は、「相続以外の所有権移転登記」や「抵当権設定登記」等を申請する際、添付書類として必要になります。
・所有権移転登記や抵当権設定登記等を申請する場合には、登記義務者の「本人確認や意思確認」のために、「① 登記済権利証(又は登記識別情報)、②印鑑証明書」を添付しなければなりません。
オ 登記申請に当り、登記済権利証(又は登記識別情報)を提供できない場合は、下記のような方法をとることになります。
① 事前通知制度を利用する方法(平成17年3月7日改定施行の不動産登記法23条1項・2項)
所有権移転登記等の申請に当り、登記済権利証(又は登記識別情報)を紛失した等の理由により提供できない場合は、事前通知制度を利用することができます。
(ⅰ)事前通知制度の定義
事前通知制度とは、登記申請に当り、登記済権利証(又は登記識別情報)を提供できない場合は、登記義務者に対し「(A)当該登記申請があった旨及び当該登記申請の内容が真実であると思料するときは、(B)一定期間内に、その旨の申出でをすべきこと」を通知する制度です。
(ⅱ)事前通知制度の手続
法務局から、登記義務者宛に事前通知書を発送し、登記義務者がその通知書の内容に異議がないと判断した場合は、その通知書に署名・押印(実印)の上、法務局に返送します。それを受け、法務局は登記手続を行います。
② 本人確認情報を利用する方法
当該登記申請が、登記申請を業とする資格者代理人(司法書士)によってなされる場合は、当該代理人が「本人確認情報」を作成し、登記官がその情報の内容を相当と認める場合は、事前通知制度を省略して直ちに登記手続を行います。
・ つまり、法務局は登記済権利証(又は登記識別情報)を添付してなした登記申請と同様の事務処理をすることになります。

第2 不動産(土地・建物)に関する税金について(参考)
不動産(土地・建物)の譲渡、建物の新築においては、その権利を保全するために登記をする必要があります。その場合、登記費用として、「登録免許税」と「司法書士の手数料」が掛かります。
・その他に、様々な税金が発生します。以下に、そのあらましを説明します。
・なお、詳細については、「税の専門家である税理士」や「税務署」にお尋ねください。
・不動産に関する税金には、下記のようなものがあります。
① 不動産譲渡税
② 買換特例に関する税
③ 相続税・贈与税
④ 不動産取得税
⑤ 不動産保有税
⑥ 消費税
⑦ 印紙税
⑧ 交換に係る税
⑨ 取得時効に係る税
⑩ 登録免許税
ア 不動産譲渡税(平成27年4月1日現在法令等による)
不動産譲渡税とは、「土地」・「建物」という資産の譲渡によって生ずる所得に対して課税するものです。
(ア) 分離課税・総合課税
譲渡資産の種類によって、「分離課税」の対象となるものと、「総合課税(『不動産の譲渡による所得』と『給料等による所得』を合算して課税すること)」の対象となるものがあります。
(イ) 分離課税には「長期譲渡所得」と「短期譲渡所得」の2種類の税金があります。
① 長期譲渡所得の税金
あ 意義
譲渡した年の1月1日現在の所有期間が、5年を超える「土地」や「建物」を売ったときに掛かる税金のことです。
い 税金の計算
(ⅰ) 課税長期譲渡所得金額=(譲渡価額:売却代金)-(取得費+譲渡費用)-(特別控除額)
* 簡単にいうと、売ったときの価額から買ったときの価額を差し引いたものが利益となります。
(ただし、建物の場合は、償却費を考慮して計算します。)
* 特別控除額の例
a 「居住用家屋」や「家屋と共にその敷地」を譲渡した場合 … 3,000万円
b 収用等により土地や建物を譲渡した場合 … 5,000万円
(ⅱ) 税額=課税長期譲渡所得金額×20%(所得税15%+住民税5%)
* なお、平成25年から平成49年までは、復興特別所得税として、各年分の基準所得税額の2.1%を所得税と合わせて納付する必要があります。
う 税金の計算例
15年前に購入した土地、建物が、下記のような場合の計算例
(ⅰ) 譲渡価額           …5,000万円
(ⅱ) 土地、建物の取得費    …2,500万円
*・土地は購入時の価額
  ・建物は減価償却費相当額控除後の価額
(ⅲ) 譲渡費用(仲介手数料等)…100万円
(計算方法)
(ⅰ) 課税長期譲渡所得金額の計算
5,000万円-(2,500万円+100万円)=2,400万円
(ⅱ) 税額の計算
a  所得税(15%)
2,400万円×15%=360万円
b  住民税(5%)
2,400万円×5%=120万円
c  復興特別所得税
360万円(所得税)×2.1%=7万5,600円
(ⅲ) 税金の合計額
360万円(所得税)+120万円(住民税)+7万5,600円(復興特別所得税)=487万5,600円
② 短期譲渡所得の税金
あ 意義
譲渡した年の1月1日現在の所有期間が、5年以下の「土地」や「建物」を売ったときに掛かる税金のことです。
い 税金の計算例
(ⅰ) 課税短期譲渡所得金額=(譲渡価額:売却代金)-(取得費+譲渡費用)-(特別控除額)
* 簡単にいうと、売ったときの価額から買ったときの価額を差し引いたものが利益となります。(ただし、建物の場合は、償却費を考慮して計算します。)
* 特別控除額の例
a 「居住用家屋」や「家屋と共にその敷地」を譲渡した場合 … 3,000万円
b 収用等により土地や建物を譲渡した場合 … 5,000万円
(ⅱ)税額=課税短期譲渡所得金額×39%(所得税30%+住民税9%)
* なお、平成25年から平成49年までは、復興特別所得税として、各年分の基準所得税額の2.1%を所得税と合わせて納付する必要があります。<・
う 税金の計算例
3年前に購入した土地、建物が、下記のような場合の計算例
(ⅰ) 譲渡価額           …5,000万円
(ⅱ) 土地、建物の取得費    …2,500万円
*・土地は購入時の価額
  ・建物は減価償却費相当額控除後の価額
(ⅲ) 譲渡費用(仲介手数料等)…100万円
(計算方法)
(ⅰ) 課税短期譲渡所得金額の計算
5,000万円-(2,500万円+100万円)=2,400万円
(ⅱ) 税額の計算
a  所得税(30%)
2,400万円×30%=720万円
b  住民税(9%)
2,400万円×9%=216万円
c  復興特別所得税
720万円(所得税)×2.1%=15万1,200円
(ⅲ) 税金の合計額
720万円(所得税)+216万円(住民税)+15万1、200円(復興特別所得税)=951万1,200円
イ 買換特例(平成27年4月1日現在法令等による)
個人が、「事業の用に供している財産」や「居住用財産」を売却した場合は、原則として譲渡益課税がなされますが、一定の条件が満たされる場合には、「事業用財産・居住用財産の譲渡益」に対する課税を繰り延べすることができます。
* 課税を繰り延べるとの意味
譲渡益が非課税となるわけではありません。
・ 後日、売買等が行われた場合に課税されます。
(ア) 事業用財産の買換え特例
あ 制度の概要
個人が、事業の用に供している特定の地域内にある土地・建物等を譲渡して、一定期間内に特定の地域内にある土地・建物等の特定の資産を取得し、その取得の日から1年以内に買換資産を事業の用に供したときは、一定要件のもとに、譲渡益の一部に対する課税を将来に繰り延べることができます。
* 譲渡益が非課税となるわけではありません。
い 特例を受けるための要件例
① 買換えのために売る資産と買う資産は、共に事業用のものであること。
② 譲渡資産と買換資産とが、一定の組み合わせに当てはまるものであること。
* 譲渡の日の属する年の1月1日現在において、所有期間が10年を超える国内にある事業用の土地等や建物又は構築物を譲渡して、国内にある事業用の土地等、建物又は構築物を取得する場合等
③ 買換資産が土地等であるときは、取得する土地等の面積が、原則として、譲渡した土地等の面積の5倍以内であること。
* なお、一定の農地への買換えの場合は、10倍以内とされることがあります。
④ 資産を譲渡した年か、その前年中、あるいは譲渡した年の翌年中に買換資産を取得すること。
⑤ 買換資産を取得した日から1年以内に事業に使用すること。
⑥ この特例を受けようとする資産については、重ねて他の特例を適用することはできません。
⑦ 土地等の譲渡については、原則として、譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年を超えていること。
⑧ 譲渡資産の譲渡は、収容等、贈与、交換、出資によるもの及び代物弁済としての譲渡ではないこと。
・ また、買換資産の取得は、贈与、交換又は一定の現物分配によるもの、所有権移転、リース取引によるもの及び代物弁済によるものではないこと。
う  譲渡所得金額の計算
この特例の適用を受けた場合の譲渡所得の計算式は、下記のとおりです。
① 「譲渡資産の譲渡価額と買換資産の取得価額が同額」か、又は「買換資産の取得価額の方が多い」場合
(ⅰ) 「譲渡資産の譲渡価額」×0.2=収入金額
(ⅱ) 「(譲渡資産の取得費+譲渡費用)」×0.2=必要経費
(ⅲ) 「収入金額-必要経費」=課税される譲渡所得の金額
② 譲渡資産の譲渡価額が買換資産の取得価額より多い場合
(ⅰ) 「譲渡資産の譲渡価額」-買換資産の取得価額×0.8=収入金額
(ⅱ) 「(譲渡資産の取得費+譲渡費用)×(収入金額÷譲渡資産の譲渡価額)=必要経費
(ⅲ) 収入金額-必要経費=課税される譲渡所得の金額
え 申告手続
この特例の適用を受けるためには、下記の書類を添えて確定申告をすることが必要です。

(ⅰ)譲渡所得の内訳書(確定申告付表兼計算明細書:土地・建物用)
(ⅱ)買換資産の取得を証する書面(登記事項証明書等)
(ⅲ)譲渡資産及び買換資産が、特例の適用要件とされる特定の地域内にあることを証する市区長村長等の証明書
(イ) 居住用財産の買替え特例(平成27年4月1日現在の法令等による)
あ 制度の概要
居住用財産を、平成27年12月31日までに売って、代わりに居住用財産を買い換えたときは、一定の要件のもとに、譲渡益に対する課税を将来に繰り延べることができます。
* 譲渡益が非課税になるわけではありません。
い 特例を受けるための要件例
① 自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ること。
* 以前に住んでいた家屋や敷地等の場合には、住まなくなった日から3年目の12月31日までに売ること。
② 売った年の前年及び前々年に、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例又は居住用財産を売ったときの軽減税率の特例若しくは居住用財産の譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けていないこと。
③ 売った居住用財産と買換えた居住用財産は、日本国内にあるもので、売った居住用財産について、収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けないこと。
④ 売却代金が、1億0,000万円以下であること。
⑤ 売った人の居住期間が10年以上で、かつ、売った年の1月1日現在において、売った家屋やその敷地の所有期間が共に10年を超えるものであること。
⑥ 買い換える建物の床面積が50㎡以上のものであり、買い換える土地の面積が500㎡以下のものであること。
⑦ 居住用財産を売った年の前年から翌年までの3年間に、居住用財産を買い換えること。
⑧ 買い換える居住用財産が、耐火建築物の中古住宅である場合には、取得の日以前25年以内に建築されたものであること。
⑨ 居住用財産を売った人とそれを買った人との関係が、親子や夫婦など特別な間柄にないこと。
う  特例の適用を受けるための手続
この特例の適用を受けるためには、下記の書類を添えて確定申告をすることが必要です。

(ⅰ)譲渡所得の内訳書(確定申告付表兼計算明細書:土地・建物用)
(ⅱ) 売った資産の登記事項証明書等で、所有期間が10年を超えるものであることを明らかにするもの。
(ⅲ)買い換えた資産の登記事項証明書や売買契約書の写しで、取得したこと及び買い換えた資産の面積を明らかにするもの
ウ 相続税・贈与税
(ア) 相続税(平成27年4月1日現在法令等による)
あ 意義
相続税は、相続人が、「被相続人(亡くなった人)から、『相続、遺贈、死因贈与』によって取得した財産」及び「相続時精算課税の適用を受けて、被相続人(亡くなった)から贈与により取得した財産」の合計額が、基礎控除額を超える場合に課税されます。
* (ⅰ) ただし、取得した財産から「債務等の金額」を控除し、「相続開始3年以内の贈与財産の価額」を加算します。
(ⅱ) 課税は累進課税です。
い 課税遺産総額の計算
(あ) 課税遺産総額の計算方法
相続税の課税対象となる課税遺産総額の計算方法は、下記のとおりです。

「相続や遺贈によって取得した財産(遺産総額)」+「相続時精算課税の適用を受ける財産の価額」-「(債務+葬式費用)+非課税財産」+「相続開始前3年以内の暦年課税に係る贈与財産の価額」=「遺産総額」-「基礎控除額」=課税遺産総額
(い) 文言の意味その他の説明
① 非課税財産とは
(ⅰ) 墓所、仏壇、祭具など
(ⅱ) 国や地方公共団体、特定の公益法人に寄付した財産
(ⅲ) 生命保険金のうち次の額まで
500万円×法定相続人の数
(ⅳ) 死亡退職金のうち次の額まで
500万円×法定相続人の数
② 養子がいる場合の法定相続人の数
被相続人に養子がいる場合は、法定相続人の数に含める養子の数は、下記のとおりです。
(ⅰ) 実子がいるときは1人
(ⅱ) 実子がいないときは2人まで
* 上記は、相続税の総額の計算においても同じです。
③ 宅地・建物の評価方法
(ⅰ) 宅地の評価は、「路線価方式」又は「倍率方式」で評価 します。
a  路線価方式
路線(道路)に面する標準的な宅地の1㎡当りの価額を基に計算した金額(路線価×土地の面積:㎡数)で評価します。
b  倍率方式
路線価の定められていない地域についての評価方式で、固定資産税評価額に一定の倍率を掛けて計算した金額で評価します。
*路線価方式又は倍率方式の計算に当っては、国税庁のホームページに掲載されている「路線価図」又は「評価倍率表」を基にして計算します。
(ⅱ) 建物は、固定資産税評価額によって評価します。
④ 相続税の基礎控除額
(ⅰ) 平成26年12月31日以前に亡くなった場合
「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」
(ⅱ) 平成27年1月1日以後に亡くなった場合
「3,000万円+600万円×法定相続人の数」
* 上記(ⅰ)の60%となります。
⑤ 配偶者の税額軽減(配偶者控除)
「下記(ⅰ)」か「下記(ⅱ)」の場合は、配偶者に相続税が掛かりません。

(ⅰ) 配偶者が、遺産分割や遺贈により取得した正味の遺産額が1億6,000万円まで。
(ⅱ) 配偶者の法定相続分相当額(2分の1)まで。
⑥ 税額から控除されるもの
(ⅰ) 未成年者控除
相続人が20歳未満の場合は、20歳に達するまでの年数1年につき10万円。
(ⅱ) 障害者控除
相続人が障害者の場合は、85歳に達するまでの年数1年につき10万円(特別障害者の場合は20万円)。
(ⅲ) 暦年課税に係る贈与税額控除
正味の遺産額に加算された「相続開始3年以内の贈与財産」の価額に対し課された贈与税額。
* 暦年課税とは
  贈与を受けた年ごとに、贈与税が課税されることです。
(ⅳ) 相続時精算課税に係る贈与税額控除
遺産総額に加算された「相続時精算課税の適用を受ける贈与財産」の価額に対し課された贈与税額。
* 控除しきれない金額がある場合
  申告をすることにより、還付を受けることができます。
⑦ 相続税の申告・納税
相続税が課される場合には、相続人は、相続の開始があったことを知った日(通常は、被相続人が死亡した日)の翌日から10か月以内に、被相続人の住所地の所轄税務署に申告し、納税しなければなりません。
* a 相続税の納付
原則として、各相続人等が各自の相続税を相互に連帯して納付しなければならない義務があります。
b 控除額を超過した部分については、累進課税(遺産額が多くなるにつれて、段階的に税率が上がる課税方式)となります。
⑧ 延納制度
相続税額が10万円を超え、かつ、相続税を納付すべき日までに金銭で納付することが困難な事由がある場合は、申請をすることにより年賦払い(納付すべき金額を年額いくらと割り当てて支払うこと)による方法で納付することができます。
*ただし、下記のことに注意する必要があります。
(ⅰ) この場合は、利子税(税率は、相続財産の内容、納付期間により異なります)が掛かる外、原則として担保の提供が必要です。
(ⅱ) 延納をするには、相続税を納付すべき日までに、所轄税務署に申請書及び手続に必要な関係書類を提出し、許可を受ける必要があります。
⑨ 物納制度
延納によっても、金銭で納付することが困難な事由がある場合は、相続した財産で納めることができます。
*ただし、物納制度の利用には、下記の要件を満たす必要があります。
(ⅰ) その財産は、物納に適した財産であるなど一定の要件を満たしたものに限られます。
(ⅱ) 物納をするには、相続税を納付すべき日までに、所轄税務署に申請書及び手続に必要な関係書類を提出し、許可を受ける必要があります。
⑩ 被相続人の所得税・消費税の申告
所得税及び復興特別所得税・消費税及び地方消費税の申告をすべき人が年の途中で亡くなった場合は、相続人はその全員の連名により、被相続人が死亡した日の翌日から4か月以内に、被相続人の住所地の所轄税務署に確定申告をしなければなりません。
(イ) 贈与税(平成27年1月1日現在の法令等)
あ 意義
贈与税とは、個人からの贈与によって取得した財産に課税されるものであり、受贈者が受けた財産(1人又は複数人から贈与を受けた財産)から110万円を基礎控除した上で、累進課税されます。
* (ⅰ) つまり、受贈者が1年間に受けた財産につき、年間110万円までは課税されません。
・ 受贈額が、年間110万円を超過した部分につき課税されます。
(ⅱ) 税率は、相続税よりも高いです。
い 贈与の方法
(ⅰ) 暦年贈与
1人が、1年間に受ける贈与額の合計が110万円までは贈与税が課せられません。
(ⅱ) 夫婦間での「居住用土地・建物」の贈与
一定の要件を満たす場合は、「居住用土地・建物の特例」を受けることができます(詳細は下記のとおり)。
(ⅲ) 相続時精算課税による贈与
一定の要件を満たす場合は、「相続時精算課税による贈与の特例」を受けることができます(詳細は下記のとおり)。
う 夫婦間で「居住用土地・建物」を贈与したときの配偶者控除の特例
夫婦間では、一定の要件を満たせば、贈与税が課されない特例があります。
(あ) 特例の概要
婚姻期間が、20年以上の夫婦間で、「居住用土地・建物の贈与」又は「居住用の土地・建物を取得するための金銭の贈与」が行われた場合、「基礎控除110万円」の外に、「最高2,000万円」まで控除(配偶者控除)が受けられるという特例です。
(い) 特例の適用を受けるための要件
(ⅰ)夫婦間の婚姻期間が、20年を過ぎた後に贈与が行われたこと。
(ⅱ)配偶者から贈与された財産が、自分が住むための「国内の居住用土地・建物であること」又は「居住用土地・建物を取得するための金銭であること」。
(ⅲ)贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した「国内の居住用土地・建物」又は「贈与を受けた金銭で取得した国内の居住用土地・建物」に贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みがあること。
え 相続時精算課税制度(平成27年4月1日現在の法令等)
(あ) 相続時精算課税制度の概要
a  贈与税の課税制度には、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがあり、一定の要件を満たす場合には、相続時精算課税を選択することができます。
b  相続時精算課税制度は、贈与時に贈与財産に対する贈与税を納め、その贈与者が亡くなったときに、その贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額とを合計した金額を基に計算した相続税額から、既に納めた贈与税相当額を控除することにより、「贈与税・相続税を通じた納税」を行うものです。
c  この制度を選択した場合、贈与額2,500万円(複数年にわたって2,500万円まで利用可能)までは、贈与税が課税されることなく、また、不動産に限らずどのような財産でも贈与することができます。
d  贈与を受ける人(受贈者)は、贈与をする人(贈与者)ごとに、この制度を利用するかどうかを選択できます。
e  この制度を選択すると、その選択に係る贈与者から贈与を受ける財産については、その選択をした年分以降すべてこの制度が適用され、「暦年課税」へ変更することはできません。
f  この制度の適用を受けた土地には、小規模宅地の特例を適用することができません。
*  小規模宅地の特例とは
亡くなった人(被相続人)又は被相続人と生計を一にしている親族の居住用・事業用・貸付用の宅地については、その宅地を相続した人が、引き続き居住や事業を継続する場合には、一定の面積まで評価額を減額できます。
・この特例を利用する場合には、相続税の申告期限までに遺産分割協議が成立している必要があります。
(い) 相続時精算課税制度の適用要件
(ⅰ)対象者
a 贈与者=贈与した年の1月1日現在で、60歳以上の父母又は祖父母
b 受贈者=贈与者の推定相続人である「20歳以上の実子、養子(代襲相続人を含む)」、又は「20歳以上の孫」
(ⅱ)対象財産等
贈与する財産の「種類・金額・贈与回数」に制限はありません。
* 贈与を受けた財産が、2,500万円までは課税されません。
(ⅲ)「贈与税額」の計算
a  贈与税額の計算の贈与財産(基礎財産)
相続時精算課税の適用を受ける贈与財産については、その選択をした年以後、相続時精算課税に係る贈与者以外の者からの贈与財産と区分して、1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額を基に贈与税額を計算します。
b  贈与税の額
贈与財産の価額の合計額から、複数年にわたり利用できる特別控除額(限度額:2,500万円)を控除した後の金額に、一律20%の税率を乗じて算出します。
* (ⅰ) 贈与の限度額とは
2,500万円が限度額ですが、前年以前において、既にこの特別控除額を控除している場合は、2,500万円の残額が限度額となります。
(ⅱ) 相続時精算課税を選択した受贈者が、相続時精算課税に係る贈与者以外の者から贈与を受けた財産
贈与財産の価額から、暦年課税の基礎控除額110万円を控除して贈与税の税率を適用し、贈与税額を計算 します。
(ⅲ) 相続時精算課税に係る贈与税額の計算
暦年課税の基礎控除額110万円を控除することはできないので、贈与を受けた財産が110万円以下であっても、贈与税の申告をすることが必要です。
(Ⅳ)「相続税額」の計算
相続税額=「(下記①+下記②)×相続税の税率」-「既に納めた相続時精算課税に係る贈与税相当額

① 相続時精算課税に係る贈与者が亡くなった時に、それまでに贈与を受けた相続時精算課税の適用を受ける贈与財産の価額
② 相続や遺贈により取得した財産の価額
(Ⅴ)適用を受けるための手続
最初の贈与を受けた年の翌年2月1日~3月15日の間に、受贈者の所轄税務署に対して「相続時精算課税選択届出書」及び必要書類を提出する必要があります。
* a 申告が必要
相続時精算課税の適用を受けるには、贈与を受けた財産が、2,500万円を超えても、満たなくても申告が必要です。
b 相続時精算課税の適用を受ける単位
贈与者ごとに、適用を受けることの選択をすることができます。
c 相続時精算課税を一度選択した場合
いったん、相続時精算課税制度を選択すると、選択した年以後、贈与者が亡くなる時まで継続して適用され、暦年課税に変更することはできません。
お 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税(平成27年4月1日現在の法令等)
(あ) 住宅取得資等資金の贈与税の非課税制度のあらまし
平成27年1月1日から平成31年6月30日までの間に、父母や祖父母など直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた受贈者が、贈与を受けた年の翌年3月15日までに、その住宅取得等資金を、自己の居住の用に供する家屋を新築若しくは取得又はその増改築等の対価に宛てて、新築若しくは取得又は増改築等をし、その家屋を同日までに自己の居住の用に供したとき又は同日後、遅滞なく自己の居住の用に供するようことが確実であると見込まれるときには、住宅取得等資金の内、一定金額について贈与税が非課税となります。
(い) 受贈者の要件
下記の要件のすべてを満たす受贈者が、非課税特例の対象となります。
① 下記のいずれかに該当するものであること。
(ⅰ) 贈与を受けた時に、日本国内に住所を有すること。
(ⅱ) 贈与を受けた時に、日本国内に住所を有しないものの、日本国籍を有し、かつ、受贈者又は贈与者がその贈与前5年以内に日本国内に住所を有したことがあること。
(ⅲ) 贈与を受けた時に、日本国内に住所も日本国籍も有しないが、贈与者が日本国内に住所を有していること。
② 贈与を受けた時に、贈与者の直系卑属であること。
③ 贈与を受けた年の1月1日現在において、20歳以上であること。
④ 贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下であること。
(う)  住宅取得資金の範囲
住宅取得等資金とは、受贈者が自己の居住の用に供する家屋を新築若しくは取得又は自己の居住の用に供している家屋の増改築等の対価に充てるための資金をいいます。
(え) 居住用家屋及びその増改築等の要件
① 居住用家屋の主な要件
居住用家屋とは、下記の要件を満たす日本国内にある家屋をいいます。
(ⅰ) 家屋の登記簿上の床面積が、50㎡以上240㎡以下であること。
(ⅱ) 床面積の2分の1以上に相当する部分が専ら居住の用に供されるものであること。
② 増改築等の主な要件
特例の対象となる増改築等とは、贈与を受けた者が日本国内に所有する自己の居住の用に供している家屋について行われる増築、改築、大規模の修繕、大規模の模様替え、その他の工事の内、一定のもので、下記の要件を満たすものをいいます。
(ⅰ) 増改築工事に要した費用が100万円以上であること。
* 居住用部分の工事費が、全体の工事費の2分の1以上であること。
(ⅱ) 増改築等の家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が、専ら居住の用に供されること。
(ⅲ) 増改築等後の家屋の登記簿上の床面積が50㎡以上240㎡以下であること。
(お)  非課税限度額
受贈者一人についての非課税限度額は、「住宅の種類」や「住宅用家屋の取得等に係る契約の締結」が何時になるかにより異なります。
* 各年分の非課税限度額は、下記の表のとおりとなります。
A 下記B以外の場合(「住宅資金非課税限度額」といいます。)
住宅用家屋の取得等に係る契約の締結期間 良質な住宅用家屋 左記以外の住宅用家屋
~平成27年12月 1,500万円 1,000万円
平成28年1月~平成29年9月 1,200万円 700万円
平成29年10月~平成30年9月 1,000万円 500万円
平成30年10月~平成31年6月 800万円 300万円
B 住宅用家屋の取得等に係る対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合
   (「特別住宅資金非課税限度額」といいます。)
住宅用家屋の取得等に係る契約の締結期間 良質な住宅用家屋 左記以外の住宅用家屋
平成28年10月~平成29年9月 3,000万円 2,500万円
平成29年10月~平成30年9月 1,500万円 1,000万円
平成30年10月~平成31年6月 1,200万円 700万円
* なお、平成21年分から平成26年分において、「直系尊属から、住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税の特例」の適用を受けている場合には、平成27年分以降の贈与でこの非課税の適用を受けることはできません。
(か) 非課税特例の適用を受けるための要件
非課税の特例の適用を受けるためには、贈与を受けた年の翌年21月1日から3月15日までの間に、下記の書類を、納税地の所轄税務署に提出する必要があります。
(税務署への提出書類)
(ⅰ) 贈与税の申告書(非課税の特例の適用を受ける旨を記載した申告書)
(ⅱ) 計算明細書
(ⅲ) 戸籍謄本
(Ⅳ) 住民票
(ⅴ) 登記事項証明書
(ⅵ) 「新築」や「取得」の契約書の写し
エ 不動産取得税(平成27年4月1日現在法令等による)
(ア) 意義
不動産取得税は、不動産(土地・建物)を取得又は増築したことに対して、取得時又は増築時に1度だけ課せられる税金(地方税)です。
・不動産の取得とは、「売買・贈与・交換・建築(新築・増築・改築)などによって所有権を取得することを意味します。
* 登記の有無、有償・無償、取得の理由は不問です。
・時効取得による取得の場合も、不動産取得税が掛かります。
* なお、取得税納付の始期は取得時効完成日の翌日です。
(・善意による占有の場合は、占有開始日から10年、悪意の占有の場合は占有開始日から20年で取得時効が完成します)
・相続による取得の場合は、不動産取得税が課されません。
* その理由は、形式的な所有権取得だからです。
・取得税の消滅時効は、5年です。
・納税方法
取得後又は増築後、6か月~1年位の間に、県税事務所から届く「納税通知書」を使用して、県税事務所の窓口に収めるか、金融機関に納付する方法があります。
(イ) 以下、税率を説明します。
以下は、平成30年3月31日までに不動産を取得した場合の税率です。
① 土地を「売買・贈与・交換」で取得した場合
固定資産税評価額×3%
* なお、税率の基礎となる価格は、「宅地は固定資産税評価額×2分の1」、「その他の土地については固定資産税評価額そのもの」とします。
② 住宅用建物を「売買・贈与・交換」で取得した場合
固定資産税評価額×%
* 借地権の設定等は、これに当たりません。
③ 住宅用以外の建物を「売買・贈与・交換」で取得した場合
固定資産税評価額×4%
(ウ) 不動産取得税の非課税
不動産取得税は、下記のような取得に対しては、原則として、課税されません。
① 相続(包括遺贈又は被相続人から相続人に対してなされた遺贈を含む)による取得
② 法人の合併又は政令で定める分割による不動産の取得
③ 土地区画整理事業等での換地の取得
④ 債権の消滅で、「譲渡担保財産の所有権が設定後2年以内に設定者に移転した場合」の設定者の取得
⑤ 公共の用に供する道路の取得
⑥ 宗教法人が、専ら本来の用に供する不動産の取得
⑦ 学校法人が、直接、保育又は教育の用に供する不動産の取得
(エ) 不動産取得税の免税
取得した不動産の価格(課税標準額)が、下記の額に満たない場合は課税されません。
① 土地を、売買・贈与・交換などにより取得した場合=10万円
② 家屋を建築(新築・増築・改築)により取得した場合=一戸につき23万円
③ 家屋を売買・贈与・交換などにより取得した場合=一戸につき12万円
(オ) 新築住宅についての不動産取得税の軽減
① 住宅(住宅用附属建物を含む。)の新築の場合
延ベ床面積が50㎡以上240㎡以下の場合は、一戸につき1,200万円が価格から控除されます。
* 価格が1,200万円未満である場合は、その額が控除されます。
② 賃貸用の「アパート・マンション(居住用の付属屋を含む。)」の新築の場合
一区画当りの延べ床面積が40㎡以上240㎡以下の場合は、一区画につき1,200万円が価格から控除されます。
* 上記以外の「店舗・事務所・工場等の建物」については、軽減されません
オ 不動産保有税(平成27年4月1日現在法令等による)
土地・建物を所有している者に対して定期的に課す税金のことです。「固定資産税・都市計画税」等があります。
(ア) 固定資産税
あ 固定資産税の意義
土地、家屋及び償却資産(これらを「固定資産」といいます。)の所有者に対し、その固定資産の価格を基に算定される税額を、その固定資産の所在する市町村が課税する税金のことです。
い 固定資産税の額
固定資産税評価額の課税標準額×1.6%(秋田

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