コラム

 公開日: 2012-08-07  最終更新日: 2015-06-05

【9.成年後見・任意後見(申立書作成、業務の執行)】

☆逐次、情報を更新しておりますので、最新の情報は、当事務所のホームページをご覧ください。
http://www.taguchi-shihou.com/gyoumu/index.html


(当事務所の取扱業務)
① 「成年後見・保佐・補助」の開始申立書作成、申立書作成事務の相談
② 「成年後見人・保佐人・補助人」としての業務の執行
③ 任意後見契約の文案書類作成代理、任意後見契約締結代理(非紛争的事案についてのみ)、
文案書類作成の相談
④ 任意後見契約に関連した「継続的見守り契約・財産管理等委任契約・死後事務委任契約の
文案書類作成代理」、契約締結代理、文案書類作成の相談
⑤ 任意後見契約及びこれに関連した契約書の公正証書作成手続代理、契約書等文案書類作成
の相談
⑥ 任意後見人に就任しての後見事務の執行


(第1 成年後見制度 ・ 第2 任意後見制度)                
(1) 成年後見制度
ア 成年後見制度の意義
高齢者や障害者の福祉のための制度であり、判断能力が不十分な人の権利を擁護する者を裁判所が選任し、その権利擁護者の権限の範囲も裁判所の審判によって決定する制度です。
(具体的内容)
①判断能力の不十分な人達(痴呆性高齢者・知的障害者・精神障害者等)は、例えば、自己に不利益な契約であっても、その判断ができずに締結してしまうおそれがあります。そこで、判断能力が不十分なため、契約の締結等の法律行為における意思決定が困難な人達につき、その不十分な判断能力を補い、本人が損害を受けないようにして本人の権利が守られるようにします。
② 認知症や知的障害、精神障害などで、「(ⅰ)事理を弁識する能力を欠く状況にある者(成年被後見人)、(ⅱ)事理を弁識する能力が著しく不十分な者(被保佐人)、(ⅲ)事理を弁識する能力が不十分な者(被補助人)」が、社会生活において不利益を被らないように、支援者である「(ⅰ)成年後見人、(ⅱ)保佐人、(ⅲ)補助人」を家庭裁判所から選任して貰い、普通の生活を送ることができるようにします。
イ 申立権者
「後見・保佐・補助」開始の審判の申立ては、次の者が行うことができます。
(ⅰ)本人
(ⅱ)配偶者
(ⅲ)四親等内の親族
(ⅳ)未成年後見人・未成年後見監督人
(ⅴ)検察官
(ⅵ)補助人・補助監督人
(ⅶ)保佐人・保佐監督人
(ⅷ)市町村長
(65歳以上の痴呆性高齢者又は知的障害者・精神障害者について、その福祉を図るため特に必要があると認めるとき。)
ウ 「後見・保佐・補助」開始審判の申立手続
(ア)本人(審判を受ける人)の住所地を管轄する家庭裁判所へ審判の申立てをします。
その添付書類は、次のとおりです。
            記
① 本人(成年被後見人等)
(ⅰ)戸籍謄本(1通)
(ⅱ)戸籍の付票(1通)
(ⅲ) 診断書(1通)
② 成年後見人候補者
(ⅰ)戸籍謄本(1通)
(ⅱ)住民票の写し(1通)
(ⅲ)身分証明書(1通)
(ⅳ)成年被後見人として登記されていないことの証明書(1通)
*上記の他に、次のような書類の添付を求められる場合もあります。
(ⅰ)介護保険の認定等の状況の分かる資料
(ⅱ)知的障害者は、療育手帳
(ⅲ)老齢年金・障害年金等の受給者は、年金手帳
(ⅳ)精神障害者で、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている者は、精神障害者保健福祉手帳の写し
(イ) 審判の手続
申立てを受けた家庭裁判所は、本人の意思能力について審理を行います。
① 調査・審問
家庭裁判所調査官が事実を調査(事情を尋ねたり、問い合わせをすること)しますが、さらに必要に応じて、裁判官が直接、本人や成年後見人候補者に会って事情を尋ねます。
② 鑑定
家庭裁判所では、更に必要に応じて、本人の判断能力について鑑定を行います。
(ウ)審判前の保全処分
審判前の保全処分(家庭裁判所の管轄)は、成年後見人等が選任されるまでの間に、緊急事態が発生し、本人の財産管理等の必要が生じた場合に利用されます。
・ 家事審判における審判前の保全処分は、独立した手続ではなく、後見開始申立等の本案審判の申立があった場合にのみ申し立てることができます(家事事件手続法105条第1項)。
* 保全処分とは、下記のことです。
(ⅰ) 仮差押
(ⅱ) 仮処分
(ⅲ) 財産管理者の選任
(ⅳ) その他の必要な保全処分
あ 審判前の保全処分が必要なケースは、下記の場合です。
① 財産管理のため必要な場合
(ⅰ) 財産が散逸するおそれがあるとき
(例)本人が、現金・預金通帳を管理する能力がなく、そのまま放置した場合、紛失・盗難・詐取などのおそれがあるとき。
(ⅱ) 財産を事実上管理している者の管理能力に問題があり、早急に財産の全容を把握・保存しなければならないとき
(ⅲ) 本人が、財産の処分の意味を理解しないまま処分してしまったり、処分しそうな状況にあるとき
(ⅳ) 日常生活に必要な銀行預金の払戻しや日常費用の支払ができないなど、日常生活に支障を来たすとき
② 監護のため必要な場合
(ⅰ) 病院への入院、老健施設への入所など、緊急な手続が必要なとき
(ⅱ) 扶養・介護する人がいなくて、本人の治療や介護を早急にしなければ日常生活に支障を来たすとき
(ⅲ) 老健施設からの退所、病院からの退院手続等を審判前にする必要があり、その事務処理をしたり、その後の生活に支障を来たさないような対応策が必要なとき
③ 財産保全のため必要な場合
(例) 本人が、意味も分からぬまま、「自宅の処分、遺産分割協議、その他の自己に不利益な行為等」をしたり、悪徳商法の被害に遭うおそれがあるとき
* なお、これらの行為をしてしまった場合は、本人が管理者の同意を得ないでした行為なので、取消しの対象となります。
い 保全処分の種類の内容
① 財産管理者の選任申立
(審判の例)
後見開始の審判の申立について、審判の効力が生ずるまでの間、本人の財産管理者として下記の者を選任する。

秋田市山王六丁目A番B号  秋田太郎
② 本人の監護に関する指示
(審判の例)
下記記載の者を、治療のため○○病院(精神科)へ入院させる。

秋田市山王六丁目A番C号  秋田一郎
③ 後見命令
(審判の例)
ⅰ 後見開始の審判の申立について、効力が生ずるまでの間、本人の財産管理者として「秋田市山王六丁目A番B号 秋田太郎」を選任する。
ⅱ 本人は、後見開始の審判が効力を生ずるまでの間、財産上の行為(民法第9条ただし書き記載の行為を除く)につき財産管理者である秋田太郎の後見を受けよ。
う 保全処分をなし得る要件
① 後見開始等の申立があり、本案が継続していること
② 本案の申立が認容される蓋然性があること
③ 必要性があること
(エ) 審判
① 審判の告知・通知
後見等開始の審判は、成年被後見人等となるべき者に通知し、かつ、申立人及び成年後見人等に選任される者に告知します。
② 審判の確定
後見等開始の審判は、即時抗告期間の経過によって確定し、効力を生じます。
・確定の日は、審判の告知日の翌日から数えて2週間の期間満了日の翌日です。
③ 家庭裁判所による登記の嘱託
後見等開始の審判が確定した場合には、裁判所書記官は、遅滞なく東京法務局に対し、「後見等の登記」を嘱託(頼むこと)しなければなりません。
*なお、後見等の登記は、「東京法務局の専属管轄」です。
エ 成年後見人の活動事例
①一人暮らしの人が、物忘れが激しくアルツハイマー病との診断が下されたような場合
住宅の管理や生活費等のお金の管理ができないなどの問題が生じます。その場合、代理人として財産管理が可能である成年後見人を付すことにより、その不安を解消することができます。
②訪問販売で、「高価・悪質な商品を購入させられてしまった」というような場合
成年後見制度によって支援する人(成年後見人・保佐人・補助人)が定められていると、購入契約を取り消して、お金を取り戻すことが可能となります。
オ 成年後見制度と類似の制度(介護保険制度)
・介護保険制度
老人を支える制度として介護保険制度がありますが、介護保険は身体能力の不十分な人を介護面から支援する制度です。
・成年後見制度
成年後見制度は、認知症患者や知的障害者又は精神障害者などの判断能力の不十分な人のために、「①代理人として第三者と契約」したり、「②判断能力の不十分な人の財産管理」をするなどにより、法律面から支援する制度です。
カ 成年後見における死後の事務
(ア)成年後見業務と死後事務
被後見人が死亡すると後見が終了します。それに伴い、後見人は、管理の計算をし、財産を相続人に引き継ぐ義務を負います。
①死後事務が容易な場合 
財産を引き継ぐ相続人がおり、かつ、親族関係が良好であったり、遺言書が作成」されたりしていれば、死後事務は容易です。
②死後事務に困難が伴う場合
遺言書が存在せず、相続人間に争いがある場合や戸籍上の推定相続人が存在しない場合は、死後事務に困難が伴います。
(イ)成年後見人が後見業務遂行中にしておくべき死後事務の準備
①親族との意思疎通
成年後見人は、死後事務を容易にするため、日頃から成年被後見人の親族との間に意思疎通をとっておくことが大切です。
② 遺言の検討
成年後見人が死後事務を容易にするため、後見業務をしている間に、被後見人が遺言をしてもらえれば幸いです。
ただし、被後見人が事理を弁識し得る状態にあるときを見計らってやる必要があります。
(ウ)被成年後見人死亡後の事務
① 死後事務とは
成年後見人は、被後見人が死亡した後に、「相続人・遺言執行者(遺言執行者がいる場合)・相続財産管理人(相続人がいない場合)」 等に相続財産を引き継がなければなりません。
・下記の場合、財産を引き継ぐ者が選任されるまでの間、死後事務を行わなければなりません。
(ⅰ)遺言者がなく、相続人間で財産を引き継ぐ代表者が選ばれるまでの間。
(ⅱ)相続放棄その他により「相続人が存在しない場合」で、相続財産管理人が選任されるまでの間。
② 死後事務の具体的内容
(ⅰ)死亡者の遺体の引取り
(ⅱ)被後見人が入院していた場合は、入院費用の支払
(ⅲ)葬儀の執行
(ⅳ)老健施設に入所していた場合は、入所施設の居室の明渡しや入所費用の清算。
(ⅴ)相続人間で、相続財産を引き継ぐ者を決定できない場合は、相続人に対し「遺産分割調停の申立」を働きかけること。
(ⅵ)相続人が存在しない場合は、相続財産管理人選任の申立。
③ 成年後見人が死後事務を行いうる根拠
成年後見人が、死後事務を行いうる根拠は下記のとおりです。
(ⅰ)急迫の事情ある場合の応急処分義務(民法654条)
法定後見終了の際、民法874条は民法654条を準用し、「急迫の事情があるときは、引継者が委任事務を処理することができるまで、必要な処分をなし得る(応急処分義務)」と規定されている。
(ⅱ)事務管理における管理者の管理継続義務(民法697条、700条)
事務管理をなす者は、引継者が管理をなすことできるようになるまで管理を継続することを要する。

(2) 任意後見制度
ア 任意後見制度の意義
契約による後見の制度であり、自己決定の尊重の理念を最大限生かすための後見の制度です。
・任意後見においては、「①判断能力が不十分な人(本人)の権利擁護者」も、「②その権利擁護者に付与される権限(代理権)の範囲(権利擁護者が本人を代理して行うことができる後見事務の範囲)」も、判断能力が不十分になる前に、本人の意思によって定めることになります。
(具体的内容)
本人が、十分な判断能力があるうちに、将来、判断能力が不十分な状態になった場合に備えて、あらかじめ自らが選んだ代理人(任意後見人)に、「①自分の生活(生活費の使い方、住宅の維持・管理・補修等)②療養看護 ③財産管理」等に関する事務について代理権を与える任意後見契約を、公正証書で作成しておくというものです。
イ 任意後見人の実務
任意後見契約を締結しておくことで、本人の判断能力が低下した場合に、任意後見人が任意後見契約で定めた事項について、家庭裁判所が選任する「任意後見監督人」の監督のもとで、本人を代理して契約などをすることによって、本人の意思に従った行為を支援し、保護することが可能となります。
ウ 任後見契約の要件
任意後見契約は、公正証書で作成される必要があります。
・「任意後見契約に関する法律」では、契約の成立、効力の発生、終了等について厳格な規定を設けて、任意後見業務が適正に運用されるようにしています。
・任意後見契約の締結には、公証人が必ず立会い、「本人の意思」や「代理権の範囲」などを十分に確認します。
エ 任意後見契約の発効
任意後見契約は、締結した段階では契約の効力が発生しません。
①契約の効力発行時期
本人の判断能力が衰えた段階で、家庭裁判所において、任意後見人を監督する人(任意後見監督人)が選任されることによって任意後見契約が発効します。
②任意後見監督人の意義とその業務
任意後見監督人とは、後見人が契約どおりに後見事務を行っているかを監視する人で、自ら任意後見人を監督できない本人に代わって、契約内容が遂行されているかを監督することになります。
③任意後見契約の登記
任意後見契約が締結された場合、公証人役場から東京法務局へ「任意後見契約の登記申請(嘱託登記)」がなされます。
(登記事項のあらまし)
(ⅰ) 任意後見契約の委任者について
氏名・住所・本籍・生年月日
(ⅱ) 任意後見受任者又は任意後見人について
氏名・住所・代理権の範囲
(ⅲ) 任意後見監督人が選任されたとき
任意後見監督人の「氏名・住所・選任の審判の確定の年月日」
(ⅳ) 任意後見契約が終了したとき
終了事由・年月日
(ⅴ) 保全処分に関する事項
上記に関する事項のうち政令で定めるもの
オ 任意後見人の委任事務の特徴(成年後見との相違点)
(ア)任意後見人の権限
代理権のみ有しています。
*法定後見の場合と相違し、「取消権、同意権」はありません。
(イ)任意後見契約で「居住用不動産処分の代理権が与えられている場合」
「家庭裁判所の許可審判」や「後見監督人の同意」を得ることなく、居住用不動産を処分することができます。
(ウ)本人の希望に従った財産管理が可能
任意後見人の財産管理は、本人の望みに従って、財産を活用するような管理も可能です。
*法定後見における「後見人の財産管理」は保全を基本としています。
カ 任意後見契約の利用形式
任意後見契約する場合、「将来のため型」、「移行のため型」、「即効のため型」の3つの形式が考えられます。
(ア)将来のため型
将来、任意後見契約を締結した本人の判断能力が低下した時点で、任意後見契約の効力を発生させるというものです。
(イ)移行のため型
「財産管理等に関する委任契約(以下、「任意代理契約」という。)」と「任意後見契約」を同時に締結し、本人の判断能力が低下した時点で、「任意代理契約」から「任意後見契約」に移行するものです。
(ウ)即効のため型
任意後見契約の直後に効力を発生させるものです。
*認知症気味であっても、契約締結時に意思能力を有していれば任意後見契約の締結は可能です。
キ 継続的見守り契約・財産管理等委任契約
(ア)継続的見守路契約
任意後見契約が、「将来のため型」あるいは「移行のため型」の場合に、任意後見契約の効力が適切な時期に発生するように、任意後見契約の効力が生じるまでの間、「本人の安否・生活状況・心身の状態」等を把握することを内容とする契約のことです。
・任意後見契約では、任意後見の受任者に「本人の把握義務・任意後見監督人選任申立義務」がありません。
・そこで、任意後見契約の中に、下記のような内容を盛り込むことが大切です。
(ⅰ)「将来のため型」任意後見契約
任意後見契約の中に、「本人の把握条項」を盛り込んでおく。
(ⅱ)「移行のため型」任意後見契約
任意代理契約の中に、「本人の把握条項」を盛り込んでおく。
(イ)財産管理等委任契約
判断能力の衰えはないにもかかわらず、高齢・傷病等により心身の状態に不安がある者が、任意後見契約が発効するまでの間、本人(委任者)の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を受任者に委任する契約です。
ク 死後事務の委任契約
①死後事務の意味
本人が死亡した場合、「葬儀の手続・入院費用の支払・老健施設への支払・家財道具の処分」等の事務が発生します。これらの事務は、任意後見の範囲外の事務です。
・ 相続人等がそのような事務をしてくれればよいのですが、それが見込めないような場合、あらかじめ、「任意後見契約、任意代理契約」を締結する際に、このような死後事務をすることを盛り込んだ契約することも可能です。
②死後事務委任契約について
死後事務委任契約というのは、委任者が生存しているときに代理権を付与し、自分が死亡した場合の葬儀等に関する事務について委託する契約です(準委任契約です)。
(ⅰ) 死後事務委任契約の必要性
任意後見契約では死後の事務(債務の弁済、葬儀の執行等)を補えないものが多々あります。そこで、死後事務委任契約が必要となります。
(理由)
死後に必要な事務は、「入院費用の弁済、葬儀の執行、遺品の引継ぎ」などの準委任行為や事実行為が多いため、例え遺言書にそのような記載があったとしても、希望として述べられているに過ぎず、それらの事務は法律行為の内容とならないので、実効性がありません。
・ 任意後見や法定後見では、本人が死亡した場合、「応急処分義務(民法874条による654条の準用)」とか「事務管理(民法697条、700条)」による事務の履行しかできません。
(ⅱ) 死後事務委任契約の「当事者・時期・方式」
a 契約の当事者
・委任者―利用者本人
・受任者―「司法書士・弁護士・社会福祉士等」の法律及び福祉に関する専門家
b 契約の時期
任意後見契約と同時に結ばれること多いです。
(理由)
本人生存中は、任意後見人による支援」を受けられますが、本人の死亡により、後見人の地位を失うので、相続人がいる場合は相続人代表者の確定、相続人がいない場合は相続財産管理人の選任までに相当の期間を要するため、その空白を埋める必要があるからです。
c 方式
どのような方式でもかまいません。
・ただし、後日の紛争防止のため、公正証書以外の方式で作成する場合は、確定日付を付与しておくことが大事です。
・実務上
1通の公正証書にて、「任意後見契約と同時に付随契約として締結」されることが多いようです。
・「判断力のある時期 ・判断力の亡くなった時期 ・死後事務」に対応できるように、下記のような3つの契約を1つ又は複数の契約書で締結しておくことが大事です。

ⅰ 継続的見守り契約及び財産管理等委任契約
(継続的見守り契約の意味)
任意後見契約の受任者が、任意後見契約の効力が生ずるまでの間、定期的な面談等により、本人の望んでいる生活や心身の状態を認識することに努め、委任者との信頼関係を深めて、委任者の意思を尊重した委任事務・任意後見事務をスムーズに執行できるようにするためにする契約です。
(財産管理等委任契約の意味)
委任者が、判断能力の衰えはないにもかかわらず、高齢・傷病等により心身の状態に不安がある場合、任意後見契約が発効するまでの間、委任者の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を委任する契約です。
ⅱ 任意後見契約
判断力が低下した時点以降、財産を保全するため。
ⅲ 死後事務委任契約
死後事務の遂行のため。
(ⅳ) 受任者の履行義務
死後事務委任契約において、受任者は下記の者に対して履行義務を負います。
ⅰ 相続人がいる場合
相続人に対して履行義務を負います(民法644条:善管注意義務)。
ⅱ 相続人がいない場合
・相続放棄により相続人が不存在であったり、相続人が行方不明であったりした場合
相続財産を引き継ぐ財産管理人が選任されるまでの間は、受任者が事務処理を行います。
・財産管理人が選任された後の場合
受任者と財産管理人の職務が重複する部分について受任者の職が停止します。
(ⅴ) 任意後見契約締結時における「委任者死亡の際の支払費用負担明確化」の大切さ
本人が存命中に有効だった「財産管理契約・任意後見契約」は、委任者の死亡により終了するので、委任者の現金を使用することも、金融機関の預金通帳から金員を引き出すこともできません。
・ そこで、委任者が死亡した際の葬儀費用や遺品整理費用を予め確保しておくために、委任者から生前に現金を預かっておくとか、金融機関から引き出せるようにしておくことが大切です。
・ 遺言書に、「葬儀執行者Aに、葬儀費用を預託してあります」と記載して貰い、委任者が生前に葬儀費用相当分の金員を預けておくことも方法の1つです。
ケ 任意後見人・任意後見受任者の死後事務
任意後見契約は、本人が死亡することにより終了します。
(根拠)
任意後見契約は、委任契約なので(民法653条)。
(本人死亡した場合の手続)
(ⅰ)任意後見受任者・任意後見人・任意後見監督人の任意後見終了登記の申請をします(後見登記等に関する法律8条2項)。
(ⅱ)任意後見受任者・任意後見人は契約内容に従って、「管理財産の計算、その他の引渡事務」を執行します。
(ⅲ)死後事務対策がとられていた場合
任意後見契約の他に、「・遺言書があった場合 ・死後事務委任契約が締結されていた場合 ・任意代理の場合」には、契約の中に、「契約終了後に財産を引き渡す相続人代表者を指定」しておくなどの内容が盛り込まれていることが多く、その場合は死後事務の対処が容易であるといえます。
(ⅳ)死後事務対策がとられていなかった場合
法定後見の場合の死後事務と同様になります。
・つまり、「委任契約終了後において急迫の事情があるときに発生する応急処分義務(民法654条準用)」又は「事務管理(民法697条、700条)」を理由に事務を遂行せざるを得ません。

(3) 当事務所の取扱業務                     
当事務所は、「成年後見・任意後見」に関し、下記の業務を取り扱っております。
① 「成年後見・保佐・補助」の開始申立書作成
② 「成年後見人・保佐人・補助人」としての業務の執行
③ 任意後見契約の文案作成代理・任意後見契約締結代理(非紛争的事案についてのみ)
④ 任意後見契約に関連した「継続的見守り契約・財産管理等委任契約・死後事務委任契約の文案作成代理」及び「契約締結代理」
⑤ 任意後見契約及びこれに関連した契約書の公正証書作成手続代理
⑥ 任意後見人に就任しての後見事務の執行

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