コラム

 公開日: 2012-08-07  最終更新日: 2015-06-05

【11.供託手続(供託の代理)・信託手続】

☆逐次、情報を更新しておりますので、最新の情報は、当事務所のホームページをご覧ください。
http://www.taguchi-shihou.com/gyoumu/index.html


(当事務所の取扱業務)
① 供託書の作成
② 供託手続の代理
③ 供託手続事務の相談
④ 供託に関する審査請求手続(不服申立手続)についての代理


(第1 供託手続 ・ 第2 信託手続(参考))
第1 供託手続
1 供託の意義
供託とは、金銭・有価証券(振替国債を含む)その他の物品を国家機関である供託所(法務局)又は法務大臣の指定する倉庫業者等に提出して、その管理に委ね、その供託所又は倉庫業者等を通じて、それらの物をある人に受領させることにより、「債務の弁済、裁判上の担保又は営業上の担保等」における一定の法律上の目的を達成しようとする手続です。
2 供託の種類等
(1) 供託物の種類による分類
① 金銭供託
② 有価証券供託
③ その他の物の供託
④ 振替国債供託
(ⅰ)振替国債の意義
「社債、株式等の振替に関する法律」の規定の適用を受けるものとして財務大臣が指定した国債のことです。
・その権利の帰属は、上記の法律の規定による振替口座簿の記載又は記録によって定まるものとされています。
(ⅱ)振替国債の供託が認められるのは、下記の場合のみです。
a 担保(保証)供託
b 公職選挙法の規定による供託
(2) 供託によって達成しようとする目的(供託原因)による分類
① 弁済供託
② 担保(保証)供託(営業保証供託、裁判上の保証供託)
③ 執行供託
④ 没収供託
⑤ 保管供託等
ア 弁済供託
(ア)弁済供託の意義
債務者が、債務の本旨に従い、債権者に弁済の提供として金銭の受領を求めたのに対し債権者がこれを拒んだ場合、債務者は債権者を被供託者としてその提供した金銭を供託すれば、債務者の債務は消滅し、債権者はその供託金を受け取る権利を取得します。
・そして、債権者が供託金を受領すれば、供託関係は消滅します(民法494条)。
(イ)弁済供託の原因(民法494条)
① 受領拒否による弁済供託
② 受領不能による弁済供託
③ 債権者不確知による弁済供託(弁済者の過失なくして債権者を確知しえないとき)
(ウ)弁済供託の効果
供託することにより、債務者の債務が消滅します。
(エ)弁済供託の法的性質(判例:最判昭45・7・15)
供託者と供託所の間において締結される「第三者(被供託者)のためにする寄託契約」です。
(オ)弁済供託の例
① 家賃の供託(値上げしたいと考えている家主が、家賃を受け取らないとき)。
② 買掛金の支払をしたいが、売主の住所が不明なとき。
③ 休眠担保権抹消の方法として
明治・大正・昭和初期の抵当権が、抹消されずに登記簿に記録されていることが時折見受けられます。そのような場合は、抵当権者の所在が知れないため、その抵当権を抹消できません。
登記記録の内容から、「債権の弁済期から20年を経過している場合」に、「その債権額、利息及び債務の不履行によって生じた損害の全額に相当する金銭」を供託し、その供託書を添付して、土地の所有者が単独で抵当権の抹消登記をすることが可能となります。
イ 没収供託とは
法の目的を実現するために、一定の金銭等を供託させ、一定の事由が生じたときは、供託物の所有権を取り上げて、これを国家に帰属させる供託のことをいいます。
*没収供託の例
公職選挙法92条による公職の立候補のためにする供託(選挙供託)。
3 供託が有効であるための要件
供託が有効となるには、下記の要件が必要です。
①供託が根拠法令に基づくものであること
供託は、供託者の意思で自由にできるというものではなく、「民法・民事訴訟法等の法令」の中に「供託を義務付け又は供託を許容する規定」がなければなりません。
(法令の条項例)
(ⅰ)「この場合は、供託することができる」旨の規定
(ⅱ)「この場合は、供託しなければならない」旨の規定
②供託の目的物が供託可能なものであること
供託の目的物を供託物といいますが、供託物は、「金銭、有価証券若しくはその他の有体物又は振替国債」でなければなりません。
③適法な供託所に対する供託であること
供託は、法令に供託すべき供託所が定められている場合は、その供託所において手続をしなければなりません。
4 不法行為に基づく損害賠償債務の弁済供託
ア 不法行為に基づく損害賠償債務の範囲
不法行為の損害賠償債務の範囲は、下記によって決せられます(大判大15・5・22)。
① 通常生ずべき損害(民法416条1項)
② 特別の事情によって生じた損害(予見していたか予見可能であった場合:民法416条2項)
イ 損害賠償債務の供託
不法行為に基づく損害賠償債務についても、民法494条の要件を満たす限り、賠償額に争いがある場合においても弁済供託が認められます(昭和32・4・15民事甲710号民事局長通達)。
ウ 遅延損害金を付して供託
損害額に対し、不法行為時から提供時までの遅延損害金を付して提供することを要します。
5 債権者不確知の要件等
(1) 債権者不確知の要件
債権者不確知の要件は、下記のとおりです。
①債権債務の発生当初において、債権者は特定されているが、その後何らかの事情で、債務者の立場からそれを知ることができない状態に陥ったこと。
・言い換えれば、債権者は客観的に存在するが、弁済者の立場からそれを知ることができない場合のことです。
*ⅰ  債権者が存在しないことが明らかなような場合には、債権者不確知に該当しません。
ⅱ  債権者が存在していることは明らかだが、だれが債権者であるかを知ることができない理由
債権者不確知について、「事実上の理由」か「法律上の理由」かは問いません。
・債権者不確知についての「事実上の理由」の例
a 債権者が死亡し、相続が開始したが、相続人がだれか分からないような場合
b 当初から債権者不明のため、真実の債権者がだれであるかを知ることができない場合
・債権者不確知についての「法律上の理由」の例
a 債権譲渡
通知があった後、譲渡取消しの通知があり、債権譲渡の当事者間に債権の帰属について争いがある場合
b 譲渡禁止特約のある債権が譲渡され、その特約につき債権譲受人の善意、悪意が不明の場合
c 複数の債権譲渡通知が同時に送達された場合
②債権者を確知しえないことが、弁済者の過失によるものではないこと。
 *ⅰ 弁済者の過失によるものではないことの意味
弁済者が「善良な管理者としての注意」、つまり取引上一般的に要求される程度の注意を払っても、なお債権者がだれであるかを確知することができないことをいうと解されます。
・すなわち、債権者を確知することができないことについて、無過失が要求されます。
(2) 債務額が、「債権者と債務者で不一致」の場合も供託原因となるか?
(結論)
供託原因となりません。
(理由)
供託原因は、「① 債権者の弁済拒否 ② 債権者の受領不能 ③ 弁済者の過失なくして債権者を確知しえないとき(債権者不確知)」のみです(民法494条)。
6 債権者不確知等による弁済供託の事例
(1) 債権者が死亡し相続が開始したが、その相続人がだれであるかが不明の場合
①相続人を、事実上知ることができない場合も、債権者不確知に当り弁済供託ができます。
・ この場合、債務者は、相続人及び相続放棄の有無などを調査する必要もないとされています(昭和37・7・9民事甲第1909号民事局長認可)。
②相続人は明らかであるが、単にその相続した持分が不明であるだけの場合には、債権者不確知ではないとされています(昭和47年度全国供託課長会同決議)。
(2) 賃貸人に相続が発生した場合の賃料の弁済供託の方法
①賃貸人の相続人が「1人」で、「住所・氏名」が分かる場合
賃借人は、賃料をその相続人に提供することになりますが、受領を拒否された場合は、弁済供託することができます。
②賃貸人の相続人が「複数」おり、相続人全員の「住所・氏名」が分かる場合
賃借人は、あらかじめ相続人から、賃料債権の支払につき遺産分割協議に基づく通知などがない場合は、法定相続分に応じた賃料額を各相続人に提供することになります。しかし、受領を拒否された場合は、各相続人ごとに賃料額を弁済供託することができます。
・一括供託の可否
相続人全員を被供託者として1件の事件として弁済供託をすることはできません。この場合は各相続人ごとに弁済供託をする必要があります(昭45・12・22民事甲第4760号民事局長認可)。
③賃貸人の相続人が「複数」おり、相続人の一部の「住所・氏名」が 分からない場合
賃借人は、債権者不確知を理由に、賃料全額を供託することができます(昭41・12・8民事甲第3325号民事局長認可)。
(理由)
すべての相続内容が判明しないと、判明している相続人についても相続分が特定できないので。
④賃貸人の相続人が「複数」おり、相続人の一部につき、「氏名」は分かるが「住所」が分からない場合
住所不明の相続人に対して、受領不能を理由に、法定相続分に応じた賃料額を供託することができます。
⑤賃貸人の相続人が、全く分からない場合
賃借人は、債権者を確知することができないことを理由に、賃料全額の弁済供託をすることができます。
(3) 債権者である相続人間で遺産分割の争いがあるが、裁判内容から法定相続人の全員が判明している場合
債務者は、弁済供託ができません(参考:昭47年度全国供託課長会同決議)。
(理由)
債務者は法定相続人を把握しており、その法定相続分に応じて弁済することが可能なので、債権者を確知できない状態にあるとはいえません。
(4) 債権が譲渡されたが、債権の帰属について、譲渡人と譲受人との間で争いがある場合
債権者不確知による供託が認められます。
(理由)
譲渡された債権の帰属について、法律的な争いがある場合(例えば、譲渡人が譲渡通知の無効を主張している場合等)には、債務者にとっては、真実の債権者がどちらであるかを判断することは困難であることから、「過失なくして債権者を知ることができない」場合に該当します。
(5) 債権が二重に譲渡された場合
ア 債権譲渡通知の1通に確定日付がない場合
供託することができません。
(理由)
譲受人同士の優劣は、確定日付の有無で決することになるので、債務者は、譲渡通知に確定日付ある譲渡人に支払うことになり、債権者不確知になることはないからです。
イ 2通の債権譲渡通知の送達に先後がある場合
債権者不確知として、供託することはできません。
(理由)
判例(到達時説:最判昭和49・3・7)は、下記のように判じしています。
(判例の要旨)
債権が二重に譲渡された場合の優劣の基準は、通知及び承諾に付された確定日付の先後ではなく、「確定日付の付された通知が債務者に到達した日時」又は「確定日付の付された債務者の承諾の日時」の先後によって優劣を決めます。
・ 下記の場合も、同様に、債権譲渡通知の送達と(仮)差押命令又は転付命令の先後で優劣が決まります(最判昭和49・3・7、最判昭和58・10・4)。
① 債権の譲受人と(仮)差押命令を得たものとの関係
② 債権の譲受人と債権を差し押さえて転付命令を得たものとの関係
* 転付命令の意義
債務者が、第三債務者に対して有している被差押債権(債権者によって差し押さえられた債務者の第三債務者に対して有する債権)を券面額で差押債権者に移転させる執行裁判所の決定のことです。
ウ 2通以上の債権譲渡通知の到達の先後が不明である場合
債権者不確知を供託原因として、供託申請ができます(平5・5・18民四第3841号民事局第四課長通知)。
(理由)
債権譲渡につき、確定日付のある譲渡
通知が2通送達され、その先後が不明な場合には、債務者がその優劣を判断することは困難であるからです。
エ 2通の債権譲渡通知が同時に送達された場合
債権者不確知を原因とする供託はできません(昭59年度全国供託課長会同決議)。
(理由)
この場合、各譲受人は第三債務者に対し、それぞれの譲受債権についてその全額の弁済を請求することができます(最判昭55・1・11)。
・ そして、第三債務者は、最初に請求のあった債権者に弁済すれば免責されます。
*債権譲渡通知について
(ア) 債権譲渡の通知人
債権譲渡についての債務者に対する通知は、あくまで譲渡人である債権者からする必要があります。
・ ただし、債権者の「使者や代理人(任意代理人)」によってすることもできます(説明は下記のとおり)。
(イ) 債権譲渡通知の方法
あ 譲受人がなし得る通知の仕方
① 譲受人は、譲渡人の代理人として通知をすることができる(「最判昭46・3・25」等)。
② 譲受人は、譲渡人の使者として通知書を発送することができる。
い 譲受人がなしえない通知の仕方(大判昭5・10・10、最判昭46・3・25)。
① 債権譲受人が、譲渡人に代位して通知すること。
② 債権譲受人が、事務管理として通知すること。
(6) 譲渡禁止の特約がある債権につき債権譲渡通知が送達された場合
債権者不確知を理由として弁済供託ができます(昭36・7・31民事甲第1866号民事局長回答)。
(理由)
債権者が、譲渡禁止特約に違反して行った債権譲渡の効力の有無は、特約を知らなかったことについて、「譲受人が善意・無重過失であったか否かによって決せられる」ことになります(民法466条2項)。
・そこで、債務者としては、「譲受人が善意・無重過失であったか否か」について、裁判で確定されるまでは債権者を確知できないので、債権者不確知を原因として、弁済供託ができることになります。
(7) 譲渡禁止の特約がある債権につき差押・添付命令が発せられた場合
転付命令が発せられたというだけでは、債権者不確知による弁済供託は受理されません。
(理由)
譲渡禁止特約ある債権につき、差押・転付命令が第三債務者に送達された場合、「譲渡禁止の特約がある債権であっても、差押債権者の善意・悪意を問わずこれを差押え、かつ、転付命令によって移転することができるものであって、これにつき、民法466条2項の適用ないし類推適用をなすべきでないと解するのが相当である(最判昭和45・4・10)」と判じされたことに伴い、弁済供託が出来ないことになりました。
(8) 破産手続開始の決定前に破産者がした債権譲渡と債権者不確知
債権者不確知を理由に、供託することはできないと解されています。
(理由)
① 破産手続開始の決定前にあっては、否認権を行使されるかどうかは分かりません。
② 破産手続開始の決定後に破産管財人が、否認権を訴訟上行使し又は否認の請求をしたとしても、これを認容する判決又は決定が確定しない限り、債務者としては、対抗要件を備えた譲渡人・譲受人間の債権譲渡を有効なものとして取り扱い、譲受人に債務の支払をすれば足りると考えられています。
(9) 破産の否認権を行使され、これを認容する判決又は決定が確定した場合の否認権行使の効果について
この場合は、破産財団を原状に復させることになり(破産法167条 1項)、否認の効果は物権的に生じ、逸出の効力は破産手続との関係で相対的に無効となり、破産財団は回復すると解していることから、債務者の譲受人への支払が遡及的に無効であると認定される余地があります。
・債務者の債権譲受人への支払
その支払は、債権の準占有者に対する弁済として保護されるものと考えられます(民法478条)。
(10) 供託所が誤って、債権者不確知を理由として供託を受理した場合
供託者において、錯誤を理由に(供託法8条2項、供託規則25条2項)取戻をする必要はないものと考えられます。
(理由)
下記のような手続をとれば、問題が解決すると考えられるからです。
① 債権譲受人が還付請求者の場合
還付を受ける権利を有することを証する書面(供託法8条1項、供託規則24条1項1号)として、「否認権行使を否定する趣旨の確定判決正本等」を添付して還付を受ける。
② 破産管財人が還付請求権者の場合
供託規則24条1項1号書面として、「否認権行使を認容する趣旨の確定判決正本等」を添付して払渡請求する。

第2 信託手続(参考)
1 信託の3つの特徴と機能
ア  3つの特徴
①信託は,財産分離方式による財産管理制度です。
②信託の受託者は、他人の財産を預かっているので、受託者に対して非常に厳しい権利・義務が課されます。
③受益者(その信託財産から利益を得る人)を、手厚く保護しなければなりません。
イ  機能
民法では、「代理」・「委任」・「寄託」といった財産権を移転しない財産管理制度があるにもかかわらず、信託の必要性は、他の財産管理制度ではできない機能を、信託を使って生じさせようとする」ことにあります。
(具体例)
高齢者が自己の財産を、代理制度を使って誰かに預けたとした場合
・ その高齢者が、認知症になってしまうと、意思能力がなくなるので代理制度を活用することができなくなります。
・ そして、本人が亡くなってしまうと、代理権は消滅し、相続となります。
・ また、認知症となった者の土地・建物を売却し、老人ホームに入居させようとしても、自身では契約の締結ができず、成年後見人を選任し、成年後見人を代理人として契約の締結をしなければなりません。
・ しかし、信託を使えば、財産権は当初の信託段階で委託者から受託者へ移転するので、成年後見制度を使う必要がなく、かつ、相続の問題も発生しません。
2 平成18年信託法改正
・ 日本では、本来的な信託は行われていませんでした。その理由は、従来の一般的な観念においては、信託の受託者が信託銀行だからです。
信託銀行は銀行ですから、金融商品を扱っており、監督官庁は金融庁です。そこで扱われている金融商品は自益信託といい、委託者は自分の利益のために信託を設定します。
・ ところで、本来的な信託というのは、その発祥の経緯から考えても、委託者が信託を設定して、委託者以外の人が利益を得る他益信託ですが、日本では税制上の問題もあり、ほとんど他益信託というのがありませんでした。
・ そういう中で、平成18年に信託法の改正が行われました。
ア  平成18年の信託法改正による3つの特徴
① 受託者の義務の合理化(任意法規化)
   当事者の合意によって、受託者が全く義務を負わないようにすることも解釈上可能です。
② 受益者の権利行使の強化
③ 新たな信託類型の創設
   大きな背景として「規制緩和」があります。もう1つ、信託法改正が目指したのは、「資産の証券化、流動化」の促進です。
イ  新たな信託類型
例えば、「自己信託」ができるようになりました。それから「・事業信託、・目的信託、・限定責任信託、・受益証券発行信託、・遺言代用信託、・受益者連続信託」というような、これまで不可能だった新しい信託スキームの利用が可能となり、世界にある信託法のなかでも最もフレキシブルな信託法になりました。
*新しい類型である「自己信託」は、委託者が受託者になるので財産権の移転がありません。これは、伝統的な信託のあり方には反するのですが、それでも導入しました。
ウ  信託の活用と今後の展開
信託業法の規制に服さない信託、すなわち「民事信託」の活用方法として、福祉型信託としての遺言代用信託や受益者連続信託を活用することはもちろん、事業信託や自己信託についても正しい活用法を見出すことができるか否かは、現場の実務家が今後どう活動するか次第であるということです。
3 信託の意義
信託とは、財産を有する者(委託者)が、自己又は他人(受益者)のために、当該財産(信託財産)の管理・運用・処分等を管理者(受託者)に委ねる仕組みのことです。
(1) 民事信託と商事信託
ア 民事信託
信託の当事者が、限定された特定の者を相手として、営利を目的とせず、継続反復ではなく、1回だけ引き受ける信託です。個人財産の管理を目的として信託設定された場合に用いられます。
(例)
① 家族信託(個人財産の管理・処分を目的とする。)
イ 商事信託
信託の受託者が、業として、不特定数の者を対象に引き受ける信託です。業者となるには免許等が必要であり、金融庁による監督を受けます。
(例)
① 投資信託、 ②退職給付信託
ウ 民事信託の活用
従来、信託は商事信託が中心でした。しかし、信託法の抜本改正により、信託制度が身近なものとなり、民事信託の積極的な活用が期待されています。
エ 民事信託のメリット
民事信託のメリットは、①財産の保護 、②税負担の軽減(譲渡所得税、登録免許税)等が考えられます。
(2) 信託の種類(自益信託と他益信託)
ア 自益信託
受託者の行う管理・運用・処分等が、委託者本人(委託者兼受益者)のためになされる信託のことです。
イ 他益信託
受託者の行う管理・運用・処分等が、委託者本人のためではなく、第三者たる受益者のためになされる信託のことです。
(3) 信託の当事者と任務
ア 当事者
委託者、受託者及び受益者の三者が存在します。
イ 受託者の任務
受託者は、受託した財産を受益者のために管理・運用する義務と責任を負います。
(4) 信託の要件
① 委託者から受託者に、信託の目的となる財産が完全に移転すること。
   *なお、財産の移転のみならず、担保権の設定的移転も含まれます。
② 移転された信託の目的となる財産(信託財産)を、受益者のために管理・処分する制約を受託者に課すること。
(5) 信託設定の方法
ア 信託契約による方法(信託法3条1号)
委託者と受託者の間で締結される信託契約において、下記事項を定めることによって設定されます。

①委託者が受託者に対し、財産の譲渡、担保権の設定その他の財産の処分をする旨。
②一定の目的に従う旨。
③財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をなすべき旨。
イ 遺言による方法(信託法3条2号)
下記事項を、遺言する方法により設定する信託のことであり、遺言の効力発生によって信託の効力が生じます。
①委託者が受託者に対し、財産の譲渡、担保権の設定その他の財産の処分をする旨。
②一定の目的に従う旨。
③財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をなすべき旨。
ウ 公正証書等によって意思表示をする方法(自己信託、信託法3条3号)
下記の方法により設定されます。
①一定の目的に従い、自己の有する一定の財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為を自らすべき旨の意思表示を、公正証書その他の書面又は電磁的記録によってなす。
②当該目的、当該財産の特定に必要な事項その他の法務省令で定める事項を記載し又は記録したものによってなす。
(6) 信託財産
ア 信託の対象となる「財産」
金銭的価値に見積もり得るもの全てで、換金可能性が必要とされています。
* 委託者の生命、身体、名誉等の人格権は含まれません。
(理由)人格権は一身専属的権利であり、譲渡することができないからです。
イ 「財産」には消極財産は含まれるか。
消極財産は含まれません。
・ ただし、積極財産の信託の設定と同時に委託者が有していた債務を受託者に移転させ、かつ、信託財産をその債務の引き当てとする債務引受けができます(信託法21条1項3号)。
4 民事信託制度の概観
民事信託制度(①自己信託  ②限定責任信託  ③目的信託  ④受益者連続信託  ⑤家族信託  ⑥遺言代用信託  ⑦事業信託  ⑧知的財産の信託  ⑨公益信託  ⑩受益証券発行信託  ⑪担保権の信託)について概観してみます。
(1) 自己信託
ア 意義
委託者及び受託者が同じである信託です。
イ 問題点
自己信託であっても、受託者は受益者に対し義務を負い、受益者が受託者に対し受益権を有します。他の信託と異なり、委託者から受託者への財産の移転がなく、いつ信託の効力が発生したのか分かりにくく、そのため、委託者の債権者を害するおそれがあります。
ウ 要件
①信託の設定は、公正証書による必要があります。公正証書以外の書面によるときは、受益者となるべきものとして指定された第三者に対する確定日付のある証書による通知を要します。
②委託者の債権者は、信託財産として別に管理されている財産に対しても強制執行できます。
③信託設定が真正になされたことを、弁護士、公認会計士、税理士等にチェックさせるなどの義務が求められます。
エ 信託業法の適用可能性
自己信託を繰り返し行う場合であっても、業として「信託を引き受ける」とはいえず、信託業に該当しません。そのため、民事信託で活用する場合、自己信託に信託業法は適用されません。
オ 自己信託の活用方法
(ア) 企業組織再編の効果
例えば、事業承継の対象会社において、後継者に経営能力がないため能力のある第三者に事業運営を託させるだけでなく、自社に優秀な人材がいる場合であっても自己信託は有用です。
(イ) 事業承継と信託受益権
あ 問題点
相続人である後継者が、事業承継の対象会社の自社株式を相続した場合、納税資金を工面する必要があります。また、当該会社が自己株式として買い取るにしても、剰余金の分配可能額の範囲内という規制があります。
い 上記問題点の解決の一つの方法が自己信託です。
後継者は、ある事業部門を自己信託し、その信託受益権につき現預金を比較的多く相続した相続人に買い取って貰うことで、納税資金とすることができます。
・ また、オーナー経営者が生前に、ある事業部門を自己信託し、それを後継者に相続させることで、前記の方法を採れば事業承継ができます。
カ 課税
(ア) 会社の特定の事業部門ついて、自己信託を設定した段階では、信託財産は同じ法人内での移動に過ぎないため、法人税は課されません。
(イ) 信託財産から生じる毎年の所得については、受益者課税ではなく、法人課税となります。ただし、自己勘定部分と信託勘定部分はそれぞれ別の単体法人とみなして別個に法人税の申告を行います。
(ウ) 自己信託において、法人が委託者となる場合、毎年の所得について、受託者に対し法人税が課されます。
(2) 限定責任信託
信託法は、受託者の責任が信託財産に限定される限定責任信託を認めている一方、債権者保護のための規定を整備しています。
ア 意義
受託者が、当該信託の全ての信託財産責任負担債務について、信託財産に属する財産のみをもってその履行の責任を負う信託のことをいいます。そのため、受託者が信託を引き受けやすくなります。
イ 債権者保護の要件
(ア)信託債権者の責任財産を、信託財産に限定する旨の登記が要求されます。
(イ)法務省令で定める方法により算定される給付額を超えて、受益者に信託利益の給付を行うことはできません。
(ウ)受益証券発行限定責任信託は、一定以上の資産額の信託について、会計監査人の監査が義務付けられています。
ウ 設定要件
「①信託財産責任負担債務について、受託者が信託財産に属する財産のみをもってその履行の責任を負う旨の定め」をなし、「②その旨の登記をする」ことによって効力が生じます。
(3) 目的信託
受益者の定めがなく、一定の目的のために設定する信託です。設定方法としては下記の方法があります。ただし、どちらも、信託存続期間は20年を超えることができません。
ア 設定方法(2つの方法)
① 信託契約による方法
② 遺言による方法
イ 活用方法
(ア)特定目的の信託利用
次のような目的のため、個人財産を受託者に信託するものです。
① 事業貢献者に奨励金を支給する私的ノーベル賞
② 創業者記念館の建設、運営
③ 慈善又はボランティア基金
④ 委託者の死後における財産管理及びペットの飼育
⑤ 子育て支援
(イ)相続のバイパスとしての利用
例えば、甲の推定相続人Aが浪費家であるため、甲が孫Bに遺贈をしても、財産を管理する親(前記A)が使い込んでしまう場合があります。
そこで、甲が孫Bに遺贈した財産につき、死後の財産管理を受託者Yに委託します。将来、孫Bが受益者になります。贈与税が課税されますが、推定相続人Aに浪費されるよりもいいでしょう。
ウ 目的信託の課税
① 信託契約による目的信託の課税(委託者は、個人・法人ともに可)、
② 遺言により設定された目的信託の課税(委託者は個人のみ)があります。
(第1)生前に信託契約によって、信託財産が委託者から受託者に移転します。委託者に対して譲渡所得税がかかります。
(第2)遺言により設定する目的信託の場合、相続開始によって効果が発生します。課税関係は前記1と同様です。委託者が死亡した場合、相続人は委託者の地位を引き継ぐことができません。
(4) 受益者連続信託
財産分割の新たな手法で、相続問題に多様な活用が期待されています。
ア 例
受益者Aの死後は、Bを受益者とする旨の定めをする信託です。信託から30年を経過した後、指定された受益者が死亡(又は受益権が消滅する)するまでの間、効力を有します。
イ 具体的活用場面
① 息子の嫁に遺産をやりたくないとき
② 元妻の再婚相手に相続させたくないとき
③ 後継者が幼少のための対策
ウ 課税(例えば、委託者Aが受託者と信託契約を締結した場合)
Aの死亡により、B(相続人)が受益権を取得します。しかし、Cを第2次受益者としておけば、Cが遺贈により取得したものとみなして、Cに対して相続税を課すことになります。
(5) 家族信託
自己の死亡後における財産分配を、信託によって達成します。
ア 特徴
① 委託者が、死亡後受益者を変更する権利を有する。
② 死亡後受益者は、委託者が死亡するまでは、受益者としての権利を有しない。
*死亡後受益者とは、「委託者の死亡を始期として、受益権又は信託利益の給付を受ける権利を取得する者」です。
イ 家族信託の信託法上の規定
① 遺言代用信託
② 後継ぎ遺贈型の受益者連続信託
(具体例)
夫が生前には、自らを受益者として、夫の死後は妻を、妻の死後はさらに長男を連続して受益者とする旨を定める信託です。
(6) 遺言代用信託

ア意義
遺言代用信託とは、下記のような信託のことです。
① 委託者が死亡すれば、受託者となるものとして指定された者が受益権を取得する旨の定めのある信託。
② 委託者の死亡を始期として、受益者が信託財産に係る給付を受ける権利を取得する旨の定めのある信託。
イ 事例
自身が委託者となり、受託者に財産を信託して、例えば、委託者が生存中は、委託者自身を受託者とします。そして、委託者の配偶者又は子などを死亡後受益者とします。
ウ 方式
民法の遺言のような厳格な様式によることなく、生前に死亡後の財産の処分方法について信託行為をもって定めます。死因贈与と類似の機能を営みます。
エ 受託者に対する監督
(ア)遺言代用信託では、委託者の生存中に受益者が存在しない場合等が想定され、受益者による受託者に対する監督が期待できません。そこで、委託者が、受益者の定めのない信託における委託者の権利と同様の権利を有します。つまり、委託者は、受託者に対する監督が可能なのです。
(イ) 「①委託者が死亡した後、受益者となるべき者が未だ存在しない場合」又は「②受益者として、受託者に対する監督的機能を現実に行使できない場合」のため、「信託管理人または信託監督人に関する規定」を信託契約の際に設けておく必要があります。
オ 遺言信託との相違
(ア)契約と単独行為
遺言代用信託は、契約による「生前処分」ですが、遺言信託は遺言という単独行為による「死後処分」です。
(イ)方式
あ 遺言信託
① 遺言の方式及び効力に関する民法上の規定が適用され、厳格な遺言の方式を履践する必要があります。
② 財産の引渡しには、遺言執行者による執行を経なければなりません。
③ 公正証書遺言の場合を除き、家庭裁判所の検認を経る必要があります。
い 遺言代用信託
契約なので、遺言信託における前記手続きは不要であり、受益者は委託者の死亡後速やかに給付を受けることが可能です。
(7) 事業信託
ア 意義
株式等の承継により、会社の事業を個人後継者(現代表の子供等)に引き継がせるのではなく、財産及び債務の集合体としての事業そのものを信託により移転させる取引です。
(具体例)
一定期間、事業の運営を受託者に委ね、信託期間の満了後に受益者に事業を継続させるのです。対象会社の事業を、負債も含めて信託の対象とします。従来のオーナー経営者は受益者となります。
イ 事業信託の活用場面
① 会社の後継者対策
・ 後継者がいない場合又は後継者が育つまで、経営能力のある第三者に事業を信託するのです。中継ぎ的に信託を活用し、将来後継者が経営者として育った場合に信託を終了して、後継者が自身で当該会社の経営を行います。
・ 信託を継続して、受益者のままでいることも当然に可能です。
・ 現オーナー経営者が委託者として、生前に信託会社と信託契約を結び、現オーナー自身が受益者となり、相続によって受益権を承継者(後継者)に相続させることも可能です。
② 会社の分割的な活用
・ 会社が所有する多数の不動産の賃貸など、高度かつ専門的な経営能力をあまり要しない事業は、経営能力が未だ備わっていない後継者が経営します。
・ 他の事業は、受託者(信託会社)に事業の信託をして受益者となり、信託終了後に後継者は自身で当該会社を経営します。
*つまり、後継者が経営能力を身につけるまで、時間的猶予を得ることができます。
③ 遺産分割に関する活用
現オーナー経営者の長男Xに経営能力がない場合、事業部門Aを信託受益権で相続させます。他方、経営能力のある長女Yに事業部門Bを相続させます。
*つまり、このような方法により、同族間の紛争を予防することができます。
(8) 知的財産権の信託
知的財産権の信託には、次のことが考えられます。
①管理信託
「第三者による権利侵害からの保護」や「効率的な管理」を目的として設定される信託。
②流動化型信託
資金調達の手段として用いられる信託。
③特許権の管理信託
企業が保有する特許権の一括管理を目的とした特許権の管理信託。
④資金調達を行う信託
映画の著作権を信託財産として資金調達を行う信託。
*信託業法の改正により、商事信託における受託財産の制限が撤廃されたので、信託銀行及び信託会社であっても、知的財産権(特許権、著作権など)の信託を受託することが可能となりました。
(9) 公益信託
委託者(個人、法人等)が拠出した財産を、受託者が公益目的(学術、技芸、慈善、祭祀、宗教等)に従い、管理・処分して、不特定多数のために役立てることです。受益者の定めのない信託です。
ア 公益信託は、従来の公益法人と類似の機能及び規律を有しています。
イ 現在の利用状況
  ・奨学金の支給 ・学術研究への助成 ・海外への経済及び技術協力
  ・まちづくりや自然環境保護活動への助成
ウ 受託者において、主務官庁の許可を受けることを要し、主務官庁の監督を受けます。
(10) 受益証券発行信託
ア  意義
受益権を表示する証券(受益証券)を発行する旨の定めのある信託です。受益権の有価証券化が可能になったことにより、信託を用いた金融商品の利便性が高まりました。
イ  受益証券の発行
株券又は社債券と同様、受益証券は発行しないことを原則としつつ、信託行為で定めた場合には、受益証券を発行することができます。
(ア)受益権に優先劣後を設けた場合
  ① 優先受益権については、投資家の間を流通させることを目的として、受益証券を発行します。
  ② 劣後受益権については、受益者が継続保有するために、受益証券を発行しないことができます。
(イ)受益証券発行信託
信託の変更によって、「受益証券発行の定め」又は「特定の内容の受益権については受益証券を発行しない」旨の定めを変更することはきません。
ウ 受益権原簿制度
受益者と受託者との間の法律関係を明確にするため、株主名簿又は社債原簿と同様に、受益権原簿制度があります。この記載事項は法定されています。
エ 関係当事者の権利義務
この信託は、有価証券化された受益権が投資家の間で転々流通することを前提としているため、受益者による受託者の監督が必ずしも十分に確保されない可能性があります。
・そのため、受託者の善管注意義務を信託行為の定めにより軽減することが禁止されています。
・また、受託者が信託行為の定めに等に基づいて信託事務の処理を第三者に委託した場合、受託者の義務を軽減する特約は認められません。
オ 金融商品取引法の適用
この受益証券は、金融商品取引法上の有価証券とされているので、信託受益権の販売又はその代理もしくは媒介は、金融商品取引法の適用を受けます。
(11) 担保権の信託(セキュリティー・トラスト)
ア  意義
担保権の信託とは、「①担保権設定者を委託者、②担保権者を受託者、③債権者を受益者」として設定する信託です。
(ア)通常の担保権設定との相違点
債権者と担保権者が分離することです。
(イ)担保権の信託
担保権の管理を、信託の手法を用いて行うのが担保権の信託です。
(設定方法)
債務者を委託者、担保権者を受託者(例えば、信託銀行・信託会社)、債権者(例えば、金融機関)を受益者として信託を設定します。
イ  設定要件
信託法は、信託契約又は遺言の内容として、財産の譲渡とともに「担保権の設定」を規定し、担保権の信託に関する許容性を明確にしています。
・ 担保権の信託は、被担保債権を有する債権者を受益者とする他益信託であり、受託者は、受益者たる債権者のために当該担保権の管理・処分を行います。
ウ  設定方法
担保権の信託の設定方法には、次があります。
① 直接設定方式
担保権設定者(債務者又は物上保証人)が、債権者を受益者として、受託者に対して担保権を直接設定する方法。
② 段階設定方式
債権者が、担保権設定者から担保権の設定を受けた上で、当該担保権を被担保債権と分離して受託者に移転する方法。
5 まちづくり信託
空き店舗や空き地となって空洞化した地方都市の商店街を活性化させるために、様々な方法がとられています。
・ 「①できるだけお金を掛けないで資金を捻出」し、「②無駄な税金は支払わないようにする」のが肝要です。
・ 公的資金の融資や補助金の受け皿として、市街地再生のための事業を行うことを目的とした「まちづくり会社」が各地でつくられています。その「まちづくり会社」の株主は、各地の中小事業者です。
・ そのほとんどは、土地を借りて建物を建て、テナントに貸して収入を得ています。その場合、まちづくり会社は、経費を除いた約28.05パーセントを法人税、その残りを株式配当に回すことになります。
・ ところで、「まちづくり会社」の中には、店舗等を持ち過ぎたため、融資金が多額となり危機に瀕してしまったところがあります。そこで、まちづくり会社は、なるだけ物件を所有しないことが肝要と考えます。何故なら「①税金をできるだけ低く抑え、②配当をできるだけ多くする」ためです。
・ その方法として、民事信託が有利だと思います。
ア まちづくり会社への信託(民事信託)の方法
① 土地所有者又は事業に参加する人達が、定期借地権を共有で持つ。
② その定期借地権を、今後建築する建物と共に、まちづくり会社に信託する。
*商事信託と民事信託の相違
信託銀行その他信託のライセンスを持つ会社に信託することを「商事信託」といい、それ以外の会社や個人へ信託することを「民事信託」といいます
イ 賃料収入に対する「まちづくり会社」への課税
 まちづくり会社へは、課税されません。
*受益権者に不動産所得として直接課税されます(受益者等課税信託)。
ウ 高度化融資と戦略補助金を受ける要件
① 受益者は、中小事業者である必要があります。
② まちづくり会社の株主と受益者は同一になります。
③ まちづくり会社が、直接戦略補助金を受ける場合は、まちづくり会社が圧縮記帳をすることになりますが、民事信託の場合は、各受益者が圧縮記帳することになります。
*言葉の説明
あ 高度化融資とは
高度化事業とは、中小企業が共同で工場団地・卸団地・ショッピングセンターなどを設置する事業に対して、貸付けやアドバイスの支援を受けられる制度です。都道府県と中小企業基盤整備機構の診断・助言を受けた上で、長期・低利で融資が受けられます。
い 戦略補助金とは
本補助制度は、中心市街地の活性化に関する法律に規定する認定基本計画に基づき、「都市機能の市街地集約」と「中心市街地の賑わい回復」の双方を一体的に取り組む中心市街地であって、商店街・商業者、民間事業者等が地権者などの幅広い関係者の参画
を得て実施する取組みについて、「選択と集中」の視点から重点的に支援するものです。
う 圧縮記帳
固定資産の帳簿価額を、実際の取得価額より低く記帳することを認める税法上の規定。国庫補助金を受けた際などに適用され、課税延期の効果をもつ。
エ 融資に対する担保
 担保対象は、信託された定期借地権と建物です。
(ア) 方法
① 定期借地権と建物(まだ完成していません。)を信託することによって発生した受益権に、金融機関を質権者とする質権を設定します
(債務者:まちづくり会社)。
② 建物完成後、追加信託登記をした建物に、まちづくり会社を債務者とする抵当権を設定します。
③ 抵当権設定後、受益権に設定した質権を抹消します。
(イ) 注意点
建物は、必ず定期借地権の敷地権の区分建物であることです。
(理由)
敷地権がないと建物を競売したとき、当然には定期借地権が競落人のものとならないからです。

第3 当事務所の取扱業務
当事務所は、「供託手続」に関し、下記の業務を取り扱っています。
① 供託書の作成
② 供託手続の代理
③ 供託手続事務の相談
④ 供託に関する審査請求手続(不服申立手続)についての代理

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