コラム

 公開日: 2012-08-12  最終更新日: 2015-06-05

【18.交通事故(書類作成代理、簡易裁判所訴訟代理、地方裁判所等は裁判書類作成)】

☆逐次、情報を更新しておりますので、最新の情報は、当事務所のホームページをご覧ください。
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(当事務所の取扱業務)
① 示談書等書類作成の代理、示談書等文案書類作成の相談
② 争訴性がない事案の和解契約締結代理
③ 簡易裁判所訴訟代理《代理人型訴訟》、法律相談
④ 地方裁判所は裁判書類作成《本人支援型訴訟》、裁判書類作成事務の相談


 (第1 交通事故の損害賠償請求 ・ 第2 交通事故の種類と保険の種類等 ・ 第3 自動車運転者の交通事故についての法律知識 ・ 第4 自転車の交通事故)
1  交通事故の損害賠償請求
交通事故に遭遇したときは、その損害賠償請求のため、加害者若しくは被害者が契約している保険会社と交渉するのが通例です。
その場合、保険会社が提示した金額と請求者側で考えている金額に相違があるというケースが間々みられます。そのような疑問がある場合は、法律の専門家に相談するのがベターです。

2 交通事故の種類と保険の種類等
(1) 事故の種類
交通事故で、車両のみが破損し人的な被害が出なかった場合は「物損事故」であり、人的被害が出た場合は「人身事故」となります。ただ、交通事故のほとんどは物損事故といえます。
(2) 自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)
自動車を保有する場合、必ず自賠責保険に加入しなければなりませんが、この自賠責保険は、死亡や傷害といった人身に対する損害に対して支払われるもので、物損事故の場合には自賠責保険は適用されません。
(3) 任意保険
・ 任意保険に加入していたとしても、物損事故の場合に認められる損害は、原則として財産的損害のみであり、慰謝料などの精神的損害については原則として認められません。
・人身事故の場合は、医療費・休業損害・精神的慰藉料も保険の対象となります。
・物損事故・人身事故の損害賠償に対処するためには、自賠責保険のほかに任意保険に加入していることが肝要です。

3 自動車運転者の交通事故についての法律知識
(1) 交通事故を起こした場合の責任
交通事故を起こした場合、自動車運転者は「①民事上」、「②刑事上」、「③行政上」の3つの責任を負うことになります。
①民事上の責任(損害賠償責任・民法709条、710条、711条) 加害者は、被害者の財産・身体等に対する損害賠償責任を負います。
②刑事上の責任(刑罰) 加害者は、下記のような刑罰に処せられます。 ただし、下記は、平成25年12月1日現在の法律の規定です。
(ⅰ)刑法上の刑罰例
a 業務上過失致死傷(刑法211条2項)
運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁固又は100万円以下の罰金に処する。
ただし、その傷害が軽いときは,情状により、その刑を免除することができる。
b 危険運転致死傷(刑法208条の2)
第1項
・ アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させ、よって、人を負傷させたものは15年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は1年以上の有期懲役に処する。
・ その進行を制御することが困難な速度で、又はその進行を制御する技能を有 しないで自動車を走行させ、よって人を死傷させた者も同様とする。
第2項
・ 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他 通行中の人または車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる 速度で自動車を運転し、よって人を死傷させた者も前項と同様とする。赤信 号又はこれに相当する信号をことさらに無視し、かつ、重大な交通の危険を 生じさせる速度で自動車を運転し、よって人を死傷させた者も、同様とする。
(ⅱ)道路交通法上の刑罰
下記の場合、道路交通法違反として刑罰(懲役・罰金等)が科されます。

a 無免許運転の禁止(道路交通法64条、117条の3の2第1項第1号)
b 酒気帯び運転等の禁止(道路交通法65条1項、117条の2第1項第1号)
c 危険防止の措置(飲酒検知拒否等で警察官の停止に従わなかった者:道路交通法67条、119条第1項第8号)
d 無免許の者に対する自動車等の提供(道路交通法65条2項、117条の2第1項第2号)
e 酒類の提供(道路交通法65条3項、117条2の2第1項第5号)
f 酒気帯び運転者への同乗(道路交通法65条第4項、117条の3の2第1項2号)
g 交通事故の場合の措置(交通事故を起こした場合の警察官への報告義務等:道路交通法72条第1項、117条)
h 速度違反(道路交通法22条1項、118条第1項第1号)
③ 行政上の責任(「免許の取消し・停止」、「反則金」)
(ⅰ) 免許の停止・取消
交通事故を起こすと、違反の態様によっては「免許の停止」や「取消し」の対象となります。
(ⅱ) 交通反則通告制度(反則金)
道路交通法には、交通反則通告制度があります。これは、交通違反の度に刑罰 を科していたのでは、国民のほとんどが前科者となりかねません。そのような ことを回避するために、軽微な交通違反については、反則金を納めれば刑事訴 追しないということにしたのです。
(2) 民事上の責任の詳細
民事上の責任と運行供用者責任は、下記のようになります。
ア 民法上の責任
故意・過失による行為によって他人に損害を与えると、加害者はその人が被った 損害を賠償しなければなりません。これは、不法行為責任であり、民法709条 以下に定められています。
交通事故の場合も同様です。自動車の運転者が運転を誤って人に損害を与えれば、民法709条の不法行為責任に基づき損害賠償義務を負います。
イ 民法709条と自動車損害賠償保障法(自賠法)第3条の関係
加害車の運転者がその車の所有者であるときは、被害者が加害者に損害賠償を求めるには、民法709条(不法行為責任)及び自賠法3条(自動車損害賠償責任)のどちらも根拠になります。
そこで、どちらか一つの責任について立証できれば損害賠償請求ができます。
* 運行供用者責任の意義
自賠法は、「自動車という危険なものの運行を支配している者」や「自動車から利 益を受けている者」に、事故そのものに直接関係がなくても賠償責任を負わせる ものです。
(ア)責任追及の要件
a 民法709条を根拠とする損害賠償請求の場合の被害者の立証事項
① 加害者の違法な行為によって損害が生じたこと。
② 加害者に故意、過失があったこと。
b 自賠法3条を根拠とする損害賠償請求の場合の被害者の立証事項
① 相手が、その自動車の運行供用者であること。
② その運行によって生命・身体を害され、それによって損害が生じたこと。
(イ)運行供用者が、自賠法3条による責任を免れるには下記の要件が必要です。
① 運行供用者及び運転者に過失がなかったこと。
② 被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があったこと。
③ 自動車に構造上の欠陥又は機能上の障害がなかったこと。
(ウ)自賠法3条は、人身事故のみに適用されます
自賠法3条に基づく損害賠償責任は、人の生命・身体を害したことによって生じた損害賠償にしか適用されません(対人事故に限られる)。
*対物事故による損害は、民法709条の不法行為の原則によって処理することになります。
① 運転者の責任追及=民法709条の不法行為責任の規定による。
② 運転者の会社の責任追及=民法715条の使用者責任の規定による。
(3) 損害賠償の対象となる損害項目
交通事故の損害賠償については、事故の被害の態様から、「a 人身事故(①傷害による損害、②後遺症による損害、③死亡による損害)」と「b 物損事故」に大別されます。
ア 人身事故の場合
(ア)傷害事故による損害
あ 狭義の傷害
治療の結果、ほぼ元に戻るような傷害のことです。
(狭義の傷害による損害の例)
① 財産的損害
治療費、付添人費用、雑費・通院交通費、休業損害等
② 精神的損害
入院通院治療に対する慰謝料
い 後遺症を伴う傷害
治療を受けても元に戻らない傷害のことです(例:片足切断、失明、むち打ち症等)。
(後遺障害による損害の例)
①財産的損害
後遺傷害による逸失利益
②精神的損害
後遺障害に対する慰謝料
(イ)死亡事故による損害
下記「あ、い,う」の合計額となります。
① 財産的損害
・死亡に至るまでの「治療費、付添人費用、雑費・通院交通費、休業損害」等
・葬儀費用
・生存していたなら取得したであろう逸失利益
② 精神的損害
死亡慰藉料
* ただし、「①死亡した被害者に対する慰謝料」と考えるのか、「②残された遺族に対する慰藉料」と考えるのか説が分かれていますが、結果的には、どちらの説をとっても同じ金額となります。
* 内縁の配偶者も損害賠償請求権を有します。
イ 物損事故の損害の算定方法
自動車事故によって、自動車・店舗・商品・塀・電柱などいわゆる物品が破損された物損事故の損害について説明します。
(ア)物損事故に適用される法律
あ 物損事故と自賠責保険の関係
・ 自動車事故の加害者(不法行為者)の損害賠償責任についての法律は、民法709条(不法行為者自身の責任規定)や民法715条(不法行為者の使用者の責任規定)があります。
・ しかし、昭和30年に自動車損害賠償保障法(自賠法)が成立し、自動車事故のうち人身事故については、自賠法が民法より優先して適用されることになりました。
・ 物損事故については、自賠法は適用されず、また、自賠責保険も適用されません。
い 被害者の立証責任
「自賠法」と「民法709条、715条」との差異は、立証責任の点でも相違しています。
(あ)民法における立証責任
民法では、加害者に過失があったことを、被害者が立証しなければなりません。
(い) 自賠法における立証責任
自賠法では、加害者が自ら自分の無過失を立証しない限り、加害者に過失があるとされます。
ただし、過失相殺は別途、検討対象となります。
(う) 損害額の証明
民法上でも自賠法上でも、被害者が受けた損害額については、被害者自身が証明しなければなりません。
(え) 任意保険(対物保険)
物損事故については、自賠責保険の適用はないので、自動車所有者は自分で、対物の任意保険を掛けておくことをお奨めします。
(イ)車両損害の認められる範囲
あ 自動車を破損した場合
(あ)損害額の目安
①修理費
車の修理が可能なとき。
② 評価損価格
修理し、修理が完成しても格落ち(評価損)があるとき。
③ 全損したときは、下記の価格
事故直前の自動車の価格(中古価格)から、全損自動車の下取り価格(スクラップ価格)を差し引いた額。
(い)修理費
自動車が修理可能なときは、修理費が損害となり、加害者は被害者に対し支払義務を負います。通常、この修理費は、自動車修理工場の見積書や請求書の金額を信用して処理されています。
*修理費が、自動車の価格(事故直前の中古車価格)より高額となる場合の判例
・(判例1)
修理費全額を支払え。
・(判例2)
自動車の価格より高額の修理費は認めない(車の価格を限度とする)。
上記2つの判例があるが、(判例2)が有力です。
(う) 格落ちの場合
事故にあった車は、価格が下落します。これを「格落ち」又は「評価損」といいます。
・格落ち価格の算定方法の例
① 事故直前の車の価格から、修理完了後の車の価格を差し引いた残額
② 一般的にとられている算定方法
  事故直前の車の価格の1割ぐらいか、修理費の3割ぐらい。
い 修理不能の場合
全損とは、修理不能の場合ですが、それ以外にも、修理費が高額になり、事故直前の車の価格よりも修理費の方が高くなってしまう場合も、全損に準じて考えるのが妥当です。
う 休車料や代車料
事故に遭い、車を使えなくなった場合、被害者は休車料か代車料のどちらか一方の請求ができます。
① 休車料とは
事故車の修理期間中とか新車が届くまでの期間中、その車を使用できなかったことによって生じた減収分のことです。
② 代車料とは
事故車の修理期間中とか新車が届くまでの期間中、代わりの車を借りた場合の借料のことです。
③ 営業車の場合
休車料又は代車料の請求ができます(両方を請求することはできません)。
④ 自家用車の場合
営業ではないので、代車料のみ請求することができます。
え 自動車同士の衝突と過失相殺
衝突した車両の修理費合計額を算出し、その合計金額を過失割合で負担します。
(事例)
A車とB車が衝突して、「A車の修理代が30万円、B車の修理代が10万円(損害合計額は40万円)」で、過失は、「A車側が8割、B車側が2割」だった場合
(結論)
Aの負担は32万円(40万円×0.8)、Bの負担は8万円(40万円×0.2)となり、Bは自分の過失が2割しかないのに、Aから2万円しか取れないので、2万円は自己負担となります。
Aとしては不満でしょうが、物損事故の損害賠償額の計算方法はこのようになっています。
(ウ)自動車の破損以外の損害
物損事故の場合、破損対象は「店舗、商品、塀、電柱」など、自動車以外の物品を破損することもあります。この場合には、物損に対する損害賠償の問題とともに、営業ができなかったことによる補償の問題も起こってきます。
あ 修理費と営業補償(休業補償)
① 修理費
・ 建物の復元費用
・ テーブル等は原則として中古価格。
ただし、中古価格が分からない場合は、むしろ新品を揃える価格(損壊したものと同程度の品物の価格)を損害とみるほかない。
② 営業補償(休業補償)
例えば、食堂の場合、「食堂の一日平均の売上額から支出しないで済んだ経費を差し引いた額に営業できなかった日数を掛けた金額」。
い 物を全損した場合
例えば、ブロック塀や電柱を破損した場合、「前と同じ構造の物を新しく作る価格」。
(エ)物損を填補する損害保険
物損の場合、自賠責保険の適用はありません。以下に記載するのは、全て任意保険(加入を強制されない保険)です。
あ 対物賠償保険
自分の所有ないし管理している自動車が、他人の自動車、家、塀その他の財物を破損し、加害者が被害者に対し、損害賠償責任を負担することになったときに、加害者に支払われる保険です。
・被害者請求の制度(保険金の請求に当たり、被害者からの請求が要件となること)はありません。
・契約者側が酒酔い運転で事故を起こした場合にも支払われます。
い 車両保険
自分の自動車が、交通事故、火災、盗難などによって破損または喪失したときに、その損害を契約者に支払ってくれる保険です。
・契約者(所有者)が自分の運転ミスで自分の車を破損したときも、保険金支払対象となります。
・他の車にぶつけられたときも、保険金支払対象となります。
*この場合、「①自分の車両保険」を先に適用するか、「②相手方の対物賠償保険」を先に適用するは自由です。
う 自動車運転者損害賠償責任保険
この保険は、通称「ドライバー保険」とか「ペーパー保険」といわれています。
・この保険は、対人と対物があります。
・前記の対物賠償保険は、自動車に掛ける保険ですが、ドライバー保険は人(運転免許証のある運転者)に掛ける保険です。
え 自家用自動車保険
これは、昭和51年に保険会社が売り出した保険で、「①対人賠償保険 ②自動車事故保険 ③無保険車傷害保険 ④搭乗者傷害保険 ⑤対物賠償保険」の5つの保険をセットしたものです。
・現在は、車両保険も基本契約に組み込んだ自家用自動車総合保険が主流です。
・この保険の特色は、保険会社が契約者のために示談代行をする点にあります。
ウ 損害の総額に影響する事由(過失相殺・好意乗車)
(ア)過失が双方にあった場合
交通事故は、加害者・被害者の双方に過失があったために発生することが多いです。したがって、公平の見地からも過失に応じて損害を分担することになります。
・実務では、日弁連交通事故相談センターが発表した「過失割合認定基準表」を参考にして、損害の算定をしています。
*過失割合認定基準表の意義
昭和40年代に入り、過去の裁判例を基にして、事故の態様ごとに過失の割合をパターン化した表のことです。
・過失割合認定基準表が利用されるのは、「①任意保険を請求する場合」と、「②民事訴訟で損害賠償を請求する場合」です。
(イ) 好意乗車
車を電柱にぶつけるなどして、好意で乗せてあげた同乗者に怪我をさせた場合も、全く無関係な人に損害を与えた場合と同じように損害賠償しなければなりません。
(4)損害賠償と自動車保険の活用法
交通事故の適切な解決には、自動車保険への加入が必須条件です。
ア 自動車保険の種類
(ア) 加入が強制かどうかによる区別
① 強制保険(自賠責保険:対人賠償責任保険です。)
加入が強制されている保険
② 任意保険(対人・対物に適用される賠償責任保険です。)
加入するかしないかは、本人の自由意思に任されている保険
(イ)「①賠償責任保険(加害者が被害者に対して負担する損害賠償責任を填補する保険)」と「②その他の保険」
(ウ)賠償責任保険
① 対人賠償責任保険(自賠責保険・任意保険)
被害者の生命・身体を害したことによって損害を填補する保険
② 対物賠償責任保険(任意保険)
被害者の所有物などを破損したことによって生じた損害を填補する保険
(エ)任意保険の種類
① 対人賠償責任保険
上記(ウ)①のとおり
② 対物賠償責任保険
上記(ウ)②のとおり
③ 自損事故保険
事故によって損害を受け、誰にも損害賠償を請求することができない場合のための保険です。
④ 無保険車傷害保険
相手の車が無保険のため、相手から損害賠償を受けられない場合のための保険です。
⑤ 搭乗者傷害保険
保険契約している車に搭乗していて、事故により怪我をしたり、死亡したときに出る保険です。
⑥ 車両保険
保険契約している車が、事故により破損したときに出る保険です。
イ 賠償責任保険の性質
交通事故を起こしたとき、加害者や運行供用者などの加害者側が被害者に対してその被った損害を賠償しなければなりませんが、この加害者側の負担する損害賠償額を填補するのが「賠償責任保険」です。
ウ 保険金額と賠償額
自動車保険は保険金額が定められていますが、対人・対物賠償責任保険の保険金額は、事故の発生により支払われる保険金ではありません。これは、保険金額は支払われる保険金の最高限度額を示すものです。
エ 自賠責保険と任意保険
自賠責保険と任意保険の対人保険は、被害者の生命・身体を害したことによって生じた損害の賠償責任を填補するものです。 任意保険の対人保険は、自賠責保険で賠償できなかった部分を填補するものです。
(ア)自賠責保険(対人のみ対象となる保険)
自賠責保険は、強制保険という性格から保険料も安く、保険金額も低額になっています。
・ 傷害による損害については、保険金額は金120万円しかなく、医療費を支払 えば、ほとんど余剰はなくなってしまいます。
・ 死亡による損害、後遺症による損害についても、加害者に一方的な過失あった場合などは、自賠責保険では賠償することはできません。そこで、任意保険が必要となってくるのです。
・ 自賠責保険の保険金額は、死亡、傷害、後遺障害の場合で異なります。

(平成25年現在の自賠責保険の最高額)
① 死亡による損害    金3000万円
② 障害による損害    金120万円
③ 後遺障害による損害  各後遺障害の等級ごとに定められた保険金額
(イ)任意保険(対人・対物が対象となる保険)
任意保険の保険金額は、対人保険については、一人幾らという決め方をします。
(例)
(ⅰ)傷害・後遺障害の場合
任意保険の保険金額を金5000万円と決めると、被害者が怪我をして後遺症が残った場合、自賠責保険で填補されない傷害部分と後遺障害部分を合わせた損害額が金5000万円になるまで任意保険が填補します。
(ⅱ) 死亡の場合
任意保険の保険金額を金5000万円と決めると、自賠責保険の金300万円と任意保険の金5000万円の「合計の金8000万円」まで填補されます。
オ 自賠責保険の特質
(ア)被害者請求
自賠責保険では被害者が直接、保険会社に請求して賠償金の支払を受けることができます(自賠法16条)。
(イ)重過失による減額
(損害賠償額を決める場合、被害者側の過失も考慮され、過失の割合に応じて加害者側の賠償額が少なくなります。
*重過失による減額の意味
自賠責保険では任意保険と相違し、被害者に重大な過失がない限り賠償金を減額することはありません。この減額のことを、「重大な過失による減額」といいます。
(ウ)自賠責保険請求権の消滅時効
自賠責保険の被害者請求権は、事故発生時から2年で消滅時効にかかります(自賠法19条)ので、2年以内に請求することが肝要です。
・入院期間が長引く場合は、被害者請求をするなどして、時効中断の手続をとるべきです。
(時効中断の方法)
保険会社が支払えば債務承認(支払時から2年間は消滅時効にかからない。)となるし、保険会社から債務承認書にサインして貰うことも方法の一つです。
・「自賠責保険請求権の消滅時効」と「不法行為による損害賠償請求権の消滅時効」
不法行為による損害賠償請求権の消滅時効は3年です(民法724条)。そこで、被害者は、自賠責保険の被害者請求権が消滅時効にかかっても、民法上の損害賠償請求権を行使することができます。
・後遺障害がある場合
自賠責保険では、症状固定の日を損害の発生日とし、その時から損害賠償請求権の消滅時効が進行するとしています。
(エ)任意保険の特質
最近の任意保険の加入者のかなりの人が、自家用自動車総合保険に加入しています。
* 自家用自動車総合保険における「示談代行」
事故を起こした加害者や運行供用者に代わって、保険会社が被害者と示談交渉を行うというものです
・この保険に加入しているときは、ほとんどの場合、保険会社が示談交渉をします。
・もし、示談が成立せず裁判になったときでも、ほとんどの場合、保険会社が、その顧問弁護士を加害者側の代理人として訴訟を提起してきます。その場合加害者側の弁護士費用も、保険会社が負担してくれます。
(5)損害賠償を解決する方法
ア 当事者を確定する
まず、当事者を確定しなければなりません。
(ア)事故の当事者が存在している場合
被害者が損害賠償請求権者で、加害者あるいは運行供用者が賠償義務者となります。
(イ)被害者が死亡した場合
・死亡した被害者の相続人全員が、加害者側に対して賠償請求することができます。
・被害者に内縁の配偶者がいるときは、内縁の配偶者も損害賠償請求権を有します。
・被害者の近親者にも、賠償請求が認められることがあります。
イ 損害を証明する資料の収集
損害については、被害者が証拠を収集して証明する責任を負います。
ウ 事故の態様を知る
(ア)損害賠償額を確定するに当たっては、過失割合が大きく影響します。過失割合を判断する上での大きな要素は事故態様です。
(イ)事故態様を知るための重要な要素は、下記のような刑事記録です。
① 事故直後の当事者の供述  ② 実況見分調書からなる刑事記録
エ 当事者間で話し合いがつかなかったとき
被害者と加害者側間で、事故の損害賠償について、示談が成立しない場合が多々あります。そのような場合は、最終的には裁判で決着を付けるしかありません。
(決着を付ける方法)
① 当事者間で、和解や示談によって解決する方法
② 財団法人交通事故紛争処理センターに申し立てる方法
加害者が任意保険に入っているときにとりうる方法です。
・申立てがあると処理センターでは、保険会社の担当者を呼び出し、被害者との示談の斡旋をしてくれます。
・示談に至らないときでも、場合によっては、処理センターの審査委員会が損害賠償額について、裁定という判断を下すこともあります。
③ 裁判手続(調停申立・訴訟提起)をとる方法
(ⅰ)調停は、話し合いによって事件の解決を図ろうとするものです。しかし当事者間に合意が成立しなければ、調停は不調となり事故の解決ができません。
(ⅱ)訴訟は、裁判官が判断(判決)してくれますので、最終的な解決方法となります。
オ 訴訟と「弁護士・司法書士の費用」
(ア)当事者間で話し合いが付かなければ、被害者としては、最終的には訴訟にするにしかありません。
(イ)訴訟を提起するには、弁護士や司法書士に依頼することになりますが、依頼することにより費用が発生します。
(ウ)交通事故訴訟(不法行為による訴訟)で、裁判が判決で終了する場合は弁護士等の費用(弁護士・司法書士に掛かった費用)が損害の一部として認められます。
*ただし、裁判を起こしても裁判の途中で和解が成立した場合は、弁護士等の費用を請求しないのが慣例となっています。
*弁護士等の費用の意味
判決で認められる弁護士等の費用は、被害者(原告)が弁護士・司法書士と契約した「弁護士・司法書士の報酬」の額ではなく、交通事故と相当因果関にある金額に限られ、一般的には裁判所で認められた損害額(過失相殺され、既払金も控除された金額)の1割が認められる事例が多いです。

4 自転車の交通事故
ア 自転車事故発生による責任
自転車事故で他人に怪我を負わせたり、物を損壊したりすると、自動車事故と同じように「①刑事 ②民事 ③行政」上の責任が生じます。
イ 事故発生時の注意点
まず、警察に届け出て「実況見分、現場検証」を経た上で事故証明を取得すること が肝要です。
・事故証明は、「①民事上:損害賠償の請求、被害者の慰謝料の算定」、「②刑事・行政上:行政罰、刑事罰」の証拠資料となります。
・被害者の救護
事故を起こした場合は、救急車を呼ぶなどの緊急処置が必要です。何も処置せずその場から立ち去ったりすると、「ひき逃げ事故」として、重い罰が課されたり慰藉料が加算されることになります。
ウ 自転車事故の損害賠償請求
損害賠償請求は、相手方に対し民法上の不法行為責任を問うものであり、被害者が、「加害者の故意・過失や損害等」を立証する必要があります。

5 交通事故に関する当事務所の業務方法
(1)行政書士の業務として、保険金請求書類・示談書等作成代理業務を行います(書類作成代理)。
例えば、加害者が事故責任を自認する場合、「①加害者との過失割合や賠償額等の話合い・協議を被害者から受任した範囲で代理」し、「②合意の示談書をまとめて自賠責保険支払い請求につなげる」ことは、行政書士の合法的な契約締結代理業務に該当します。
  *行政書士は、当事者(加害者または被害者)の依頼に基づいて、交通事故にかかわる調査や保険金請求の手続を行います。
  また、被害者に代わり、損害賠償額算出に供する基礎資料の作成、損害賠償金の請求までの手続等を行います。
(2)司法書士は、簡易裁判所訴訟代理権を有しているので下記業務を行います(代理人 型訴訟)。
物損事故・人身事故の場合で、損害賠償請求金額が金140万円以内の事件については、弁護士と同様、代理人として業務ができます。
そこで、「①代理人として交渉」し、和解により事件の解決図ったり、和解が難しい場合は、「②訴訟代理人として訴訟を遂行」します。
(3)地方裁判所の損害賠償請求訴訟においては、本人支援訴訟(本人支援型訴訟)を行います。
訴額が、金140万円を超える損害賠償請求事件については、司法書士には訴訟代理権がありませんが、裁判書類の作成権限があります。
そこで、裁判の当事者たる本人自らが法廷に立って訴訟を遂行する意思がある場合には、訴状の作成、準備書面等の書類を作成することにより、訴訟の進行を支援いたします。

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田口昭一(たぐちしょういち)

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